昨日は、COMOLIを紹介しましたが、今日は、山内を紹介します。

 

とても美しいシャツです。

 

今回のは、今まで山内の中で、最も代表的なものだった塩縮加工のシャツのニュータイプ。

 

これまでは、コットンとリネンの交織生地でしたが、今回はコットン100%。

 

しかしながら、”絣格子”。

 

格子ということで、チェック柄なんですが、通常のチェックは、大体が端から端まで一直線のものがほとんど。

 

今回のももちろん、直線なのですが、日本ならではの”絣”でそれをつくることによって、全然違う印象になってる。

 

その上、山梨県の加工場で施される、手作業での強い”塩縮加工”。

 

おかげで、とても趣深く、”絣の陰影あるチェック”が生まれてるんですよ。

 

 

 

 

 

 

 

山内

塩縮加工コットン絣格子シャツ(羽衿付き)

face material _ COTTON 100%

lining material _ COTTON 55%,CUPRO 45%

color _ KASURI RED

size _ 2,3,4,5

 

こちら。

今回は、当店では衿付きのみの取り扱いです。

これまでは、衿がないものが中心だったので。

 

 

まずは、こちらを見て。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不揃いで線の境界も曖昧で、消えていく絣の糸。

時を忘れて見続けていられるような、とても美しい生地。

 

全部が同じ表情ではなく、糸の太いところと細いところ、そして、かすれたような色糸。

そのような表情は、まさに昔ながらの和服に共通する日本の奥深さを感じる。

 

例えるならば、”水墨画”のようなチェックパターン。

 

この生地は、山内のオリジナル生地ではあるのですが、設計や製織は、静岡県の福田織物さんによるもの。

 

山内の山内さんが福田織物さんに行った時に、伝統的な絣糸を見て、そこから依頼した生地です。

 

使用する絣の糸は、二種類の太さのものを使ってる。

 

この糸は、糸そのものも福田織物さんがつくった糸だそう。

 

これまでは、塩縮加工シャツは、無地のもののみで、生地の組織は、綾織りでしたが、今回は絣格子を生み出すために、平織り。

 

そして、その陰影ある見た目だけじゃないの。

 

この生地。

 

本来の絣であれば、比較的太くて、粗野で、ムラや毛羽立ちがある糸を使うんですが、この糸は全然違う。

 

とても細い糸をベースに、糸の毛羽立ちを除去し、とても滑らかな質感に仕上げたもの。

 

それを平織りで高密に織り上げてる。

 

春夏ですからね、決して重厚な生地というワケではないですが、細い糸がしっかりとした密度で織り上げられてるから、信頼感をとても感じてもらえる。

 

 

 

 

 

 

遠目から見ても、日本的で、自然な不均一さのある生地。

佇まいがとても美しい。

 

 

 

 

 

バック。

 

 

 

 

高濃度な塩縮液に、手作業で漬け込むことで生まれる生地の奥行き。

この工程は、今ではほぼ行われておらず、かなり化学的な世界でもあるので、とても専門的技術が必要なのですが、服になったとき、その恩恵が満載。

手作業の塩縮で、縮みが生まれ、フラットではなく、絣格子の表情に、より一層の個性が生まれる。

 

よくよく見てたら分かると思うけど、塩縮で縮みが大きく出ているのが、ベースの白の平織り箇所ではなく、絣糸の箇所。

 

この絣糸が二種類の太さを入れてあるから、糸の太さの違いも加わって、凹凸が強く出てるんですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、美しいのは、生地だけじゃない。

 

これを洋服に仕上げるのは、”山内”ですからね。

 

“山内”のスペシャリティーな縫製テクニックが超絶注ぎ込まれてる。

 

まあ、生地の雰囲気を最大限に活かすため、塩縮加工のシャツは、基本的には、表にステッチが極限まで露出しません。

 

 

 

少しディテールを紹介しますね。

 

 

 

 

 

 

先述の通り、表にはほとんど生地の接ぎ合わせのステッチが出ない。

 

そして、前立ても表には存在しません。

 

 

 

 

 

身頃とヨーク、アームホール、衿、全てにステッチの露出がない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裾は、緩やかにラウンド。

見たら分かるけど。

あと、写真では分かりにくいけど、身頃裾にはステッチが現れます。

 

 

 

 

 

きちんと立体的に立った衿。

衿先の鋭角な尖りや、衿の角度もバツグン。

 

 

 

 

 

そして、このシャツ。

コットン55%、キュプラ45%の総裏地。

裏地は、薄手の綾織り組織のものですが、肌当たりが超絶心地良いの。

 

 

 

 

 

更には、その裏地の付け方もハンパない。

今まで、このブログで何度も紹介してきたけど、何度見ても素晴らしい。

表地と重ねて縫製するけど、歪みや狂いがなく、見事に縫い上げられてる。

 

 

 

 

 

 

裏。表側。

 

ただ単に裏を付けてるのではなく、全ての処理がとても丁寧に施され、それは、まさに、”シャツを超えたシャツ”。

 

 

 

 

裏。後側。

表面にはステッチが現れないので、基本的に縫製仕様は、袋縫いですが、それが表地だけじゃないですからね。

裏地も同時に袋縫い。

 

そして、裏地がある分、どうしても縫い代の生地厚が出てしまい、袋縫いが適さない場所には、パイピング仕様。

オーバーロックとかじゃないんですよ。

 

 

 

 

アームホールと二枚袖の接ぎ合わせ箇所のパイピング仕様。

 

 

 

 

 

そのパイピングは、アームホールのカーブがキツい場所であっても、生地端からの間隔が歪みなくステッチが入れられる。

 

 

 

 

 

更には、圧巻の二枚袖の裏処理。

 

 

 

 

 

この後、お話ししますが、山内のシャツの剣ボロ開きは、特殊な仕様になってるんですよ。

それを裏でもきちんと処理してる。

 

山内の山内さんが目指す洋服の姿を実現するために、特殊な仕様であっても裏まできちんと手を入れる。

これが山内の洋服。

 

 

 

 

 

そして、これが山内のシャツの袖口。

カフスは角があるタイプ。

 

 

で、そこの袖開き箇所。

 

 

 

 

この袖の開き部分は、二枚袖の切り替えを利用したものなんですけどね、

 

山内のシャツは、その他のシャツと比べて、この開きの箇所の生地の重なりが深くなってる。

ジャケットで例えると、ダブルのジャケットみたいなイメージって思って。

 

 

 

 

これ。

重なる面積が大きい。

 

この理由は、山内の山内さんはとても細かい方なんですが、シャツを着た時、カフスボタンを留め、袖開きがカパッと開き、そこからインナーや肌が見えるのを嫌うの。

男の服は、もっと気配りがされているべきだ。という考え方で。

細かい箇所にも、気を使い、手を入れることで、長く愛せる洋服は生まれる。

 

だから、他のシャツでは考えられないほど、細かい箇所にも手が行き届いたシャツが出来上がってるの。

 

こういう袖口の開きの場所は、まさにそこを目に見えて体感できる部分。

 

 

 

 

 

あとは、このボタンホール。

もちろん、ボタンそのものも、”本白蝶貝”という超高級ボタンを使用してるんですが、ボタンホールも激ヤバ。

 

しっかりと生地本体を掴み、それでいて、みっちりとホールのかがり目が詰まった、超密度運針のボタンホール。

 

昨日のCOMOLIのストライプシリーズと全く逆ですね。笑

 

現在の当店は、日本一ボタンホールの目が粗い服と、日本一ボタンホールが細かい服が共存しています。

 

是非、見比べてみて。笑

 

 

 

 

 

 

そして、このシャツを縫うのは、埼玉県の”ファッションいずみ”さん。

 

当店では、ファッションいずみさんで縫われてるのは、山内とtilt The authenticsですね。

 

tilt The authenticsの中津さんが言うには、水出さんの縫製クオリティは、山内のこのシャツでとても鍛え上げられたそうです。

 

この山内の裏地が付いた、塩縮加工のシャツは、冒頭にも書いたけど、ブランドを象徴するようなクオリティのシャツで、長年登場してるもの。

 

もちろん、今回のような柄のものは、初めてですけどね。

 

僕もこのシャツを何着も持ってるんですけどね。

 

とにかく、感動する箇所が山積み。

 

多分、他のセレクトショップさんよりも洋服のことを多少事細かく見る性分なんですが、僕自身は、この山内のシャツを通して、山内さんに出会ったことが原点だった。

 

その昔、縫製業の道を歩み、洋服のそういった道をも志していた自分にとっては、このシャツ、この”山内”というブランド、そして山内さんの考え方は、とても憧れのような存在だった。

 

気付けば、今では、山内さんと一緒に仕事をするようになり、山内の洋服を紹介する立場になってたけど、この人の洋服は、本物。

 

これまで何度も山内さんのアトリエにも行ったし、散々、いろんなことを話し合ってきた。

 

あまりにきちんと丁寧に服がつくられ過ぎていて、時には硬過ぎる洋服も存在するけど、山内の洋服には、世の中の人に選ばれるべき思想が注ぎ込まれてる。

 

とにかく丈夫だし、細かい洋服のつくり、細部をどこをどう見ても、僕の中では、不快に感じる部分がないの。

 

それは、服の好みとかとは、別の話で、洋服に、思想と、技術、向き合った時間が凄まじく込められてるの。

 

完成した洋服からも、すごくそれを感じる。

 

だから、まあ、ファッションなんだけど、”着飾る”というファッションだけには留まらないことを常に考えさせられる。

 

それが、洋服業界の在り方、”川上”だったり、”技術者”さんだったり、はたまた、ブランドという”川中”、小売店である”川下”、そういったことまで考えを及ばせる。

 

それって、相当、信念とつくり込みが注がれてる洋服じゃないと感じられないから。

 

まあ、このシャツに関しても、絣格子の設計や、塩縮による加工の見た目、とてつもなく丁寧な縫製、そして驚きの着心地と圧巻の丈夫さ。

 

それは、全部、山内さんを含めた技術者の人の手で生み出されてる。

 

とにかく着て、使って、洗って。

 

このシャツを通して、山内というブランド、機屋、加工場、縫製工場、その日本の洋服づくりに携わる方々のレベルの高さが、ハンパなく感じてもらえると思います。

 

あと、そうそう。

 

今回のシーズンから、山内の洋服は、全部ハーフサイズ分くらいサイズが大きくなりました。

 

まあ、そんなに大きくは変わらないけど。

 

昨日も使ったワードだけど、このシャツを着れば、山内や、日本が誇るべき川上の技術ある方々のことが、とてもよく分かる。

 

見た目は好みの問題だけど、期待を大きく超えてくると思う。このシャツ。

 

是非、ご感動ください。