先日お知らせした、IRENISAとのリミテッドエディション。

 

前にお伝えした通り、その圧巻の”内股の美”からなる、パンツのアウトラインをご体感頂きたいと思っています。

 

そして、それを洋服として、実際に形づくるのには、重要な役割を担うことになるのが生地。

 

IRENISAの安倍さんと小林さんが導き出した、絶対的な”線”を最大に活かすことができるものが”必ず”だった。

 

しかしながら、僕の頭の中には、この話をスタートした時から、今回のパンツで目指すべきゴールが明確にあったんですよ。

 

だから、そこに辿り着けることが絶対条件。

 

そうなると自分の中では、どの繊維を使うのかということよりも、それに先行して、どんな”生地組織”がベストなのかということがあった。

 

ただ、それを今回の”想定したゴール”と照らし合わせると自ずと答えは決まったんですよ。

 

“平織り”。

 

これが第一条件。

 

そして、そこを軸としてブランドサイドとのやり取り。

 

時間をかけていろいろやっていく内に、最後に二択。

 

でも、その二択はどちらもIRENISAのオリジナル生地でもないし、今回のためにつくった生地でもありません。

 

これ、別に悪い意味じゃないです。

 

宝が眠ってた。あったの。あった。最適なのが。

 

日本の機屋さんは、世界中の名だたるブランドがこぞって押し寄せますからね。

 

ウルトラワールドレベルですよ。

 

だから、そういうクオリティの生地を差し置いてまで、ゼロから生地をつくり出す必要がなかった。

 

もちろん、最後の最後は、マイクロスコープを駆使してのジャッジ。

 

それをIRENISAに伝えました。

 

IRENISAの生み出すパンツのクオリティととても相性が良い、最適な生地だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

これ。

このブログのタイトルの通り、”平織り”。

ウール79%とモヘア21%の混率の生地です。

経糸は、ウールの60番手の強撚双糸。

緯糸は、ウールとモヘアが”混紡”された30番手単糸。

 

平織り強撚で、ガチッと打ち込まれ、生地組織がしっかりと立ちながらも、自然な光沢。

経糸のウールのドレープ性があり、でも、緯糸にブレンドされたモヘアがめちゃくちゃに効いてる。

この緯糸のモヘアの”ハリ”が重要。

 

そもそも僕は、毛織物の中でも”平織り”が大好きなんですが、その特徴は、やはり、”パンッ”と張った生地タッチであること。

 

でも、毛織物はどうしても”綾織り”が中心。

 

だから、あまりお目見えする機会は多くないのが実情なんですよね。

いろんな事情があるみたいで。

 

もちろん、綾織りウールの下に流れ落ちるような生地の揺らぎも良いんですよ。良いんですけどね。

 

ただ、やっぱり平織りなのよ。

 

だから、今回のIRENISAとのリミテッドエディションパンツも、この生地がよりレベルを格上げしてくれた。

 

 

 

 

 

 

ほら。

これ。

ウールとモヘアなのに、毛羽立ちのとても少ない、均整のとれた美しい平織り。

 

さっきもお伝えした通り、経糸に60番手のウール双糸。

緯糸は、それに対して単糸でウールとモヘアの混紡。

 

混紡(こんぼう)っていうのは、繊維の状態でブレンドして、混ぜて、紡績して糸にするってことです。

 

マイクロスコープのスポットライトでも、隠し切れない上質な光沢。

糸どころか、繊維レベルで輝いてますからね。

 

そういうレベルの繊維を、しっかり梳いて整え、強く撚りをかけて糸にして、打ち込む。

でも、一応ね、さすがに前提として考えてたのは、これからの季節に心地よく着用できるパンツなので、ガッチガチのウルトラ高密度とかではないです。

 

気持ちよく風が通り、素晴らしいアウトライン、ディテール。

 

それでいて、パンッと張った生地の自立した美しさ。

 

洋服なので、見た目は好みがあると思うけど、手に取ってもらえる価値が充分にあるものが出来上がったと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

また、お知らせしますね。

 

 

 

 

続く。。