こういうものを皆様に紹介できるのを喜びに思えます。

 

タイトルの通り、”本物の”、”本当の”テーラードジャケット。

 

今の世の中では、僕らが生まれるずっと前から歴史のある洋服の呼称や分類が複雑化したこともあるとは思うけど、いろんなこと、いろんな言葉が曖昧になってしまってる。

 

その一つが、”テーラーの仕立て”というワード。

 

今では、もはやそれが当然のように商品の謳い文句として使われるし、そうではないものもあたかもそのように言われていたりもする。

 

そのようなことをずっと感じていたし、当店もワールドレベルのクリエイターたちと一緒に仕事をするようになり、そのファッションの中に於いての”正真正銘”の洋服やモノに出会うことによって、

“本物”に触れることで、自分にも、お客様方にも嘘が付けないということを心底思う。

 

だから、ここ最近では本当にそうである洋服にしか使わないワードである。

 

“テーラー”。

 

まあ、それだから”良い洋服”ということではなく、何を目指してつくるかということが重要ではあるんですけどね。

例えば、当店でもAraki Yuuや山内などの洋服づくりに惜しげもなく手と時間をかけているブランドの洋服も素晴らしさが内在している。

ただ、Araki Yuuに関してはそのエッセンスがディテールに含まれてることはあるけど。

 

とまあ、世の中に乱立する”テーラー”という言葉。

 

テーラードカラーのジャケットなだけで、容易く”テーラーの仕立て”と言ってしまってるものをものすごくたくさん、小売店でもブランドでも目にするけど、もしそれが本当ならば、日本にそんなにたくさんの職人さんいるんだ!って驚愕するし、価格的に考えても完全に奉仕活動プライスだと思う。

 

まず、これを見てからそういうの言ったほうが良いと思いますよ。

 

これが”本物”。

 

真実のテーラードジャケット。

 

Nobuyuki Matsui。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Nobuyuki Matsui

Tailored Jacket

face material _ WOOL 90%,SILK 10%

linning material _ CUPRO 100%

color _ NAVY

size _ 2 (CASANOVA&CO limited sizing)

note _ 本毛芯ハ刺し仕立て

price _ お問い合わせください

※完売致しました

 

そもそもNobuyuki Matsuiの松井さんは、コレクションとしてそのシーズンテーマに基づいた洋服をつくっているし、当店でも毎シーズンそのラインナップを選んで取り扱いをしています。

 

でも、松井さんはそれだけじゃない。

 

これがデザイナーの真骨頂。

 

“テーラー”の職人としての技も持つデザイナー。

 

そんなテクニックを持つデザイナーは、世界でもそういない。

 

そして、生地まで自分で織機を使って織ることができる。

 

そうなると世界でも両手で数えることができるくらいのデザイナーの数しか存在しないと思う。

 

それくらいワールドクラスで、特別なデザイナーです。

 

もともと松井さんがこのような洋服をつくっていることは知っていたし、コレクションによってはシーズンで、アートピース的な側面も含んだこのようなジャケットが存在したりするんですよ。

 

でも、それをこれまで取り扱いをしたことがなかった。

 

ただ、いつの日にか、必ず、取り扱いをし、当店で日頃洋服を見てもらえるお客様に”このような世界”のモノに触れて欲しいと思ってた。

 

そして、それがこの度、現実に。

 

 

 

 

 

 

 

しかしながら、このような洋服になると誰でもつくれるようなシロモノじゃない。

生産のための選択肢は、Nobuyuki Matsuiのデザイナーである松井さんにお願いするか、もしくは松井さんが信頼をしている60代のテーラーの方に製作をしてもらうか。

 

松井さんもコレクションの製作や、このような洋服を手がける傍ら、楽天ファッションウィーク(東京ファッションウィーク)でのコレクションを発表したりといろいろな時間的な制約があるから、松井さんが、この人なら。というテーラーさんに生産をお願いすることにした。

 

が、世の中に蔓延するコロナウイルス。

 

その60代の職人さんが感染。

そして、重篤化してしまったそう。

松井さんからその頃に話を聞く限りでは、集中治療室に運ばれるまで症状が悪化されてしまったのだそうです。

 

こちらとしては、もちろんその方の回復を祈るばかりだし、それしかなす術なし。

 

しかし、その後、見事に回復。

 

そして、復帰。

 

大変喜ばしい出来事でした。

 

そのテーラーの職人さんの技が途轍もなく注がれたテーラードジャケット。

 

 

未だ誰のものでもないジャケットは、新品の余白だけが存在。

 

その余白を埋める、というか所有者を受け入れる潜在能力が信じられない程に高いジャケットです。

 

ほとんどの箇所が手縫い。

 

その柔らかな着用感に作用する箇所はもちろん、テーラードジャケットの見た目を左右するディテールが全て、”手縫い”です。

 

対して、着心地に悪影響せず、高い耐久性が求められる場所にはマシンソーイング(ミシン縫い)。

 

そうやってつくられたテーラードジャケット。

 

 

 

 

 

本当の設計であるが故に、もちろん身頃に比べて袖の位置が高く、袖山がプクッと丸く浮かび上がる、袖高の設計。

肩パッドもしっかりとしたものが入ります。

袖高は、スーツも同様ですね。

 

 

 

 

 

 

ウエストには切り替えとダーツを利用し、美しくシェイプが利いてる。

 

 

 

 

 

ラペルには極力ステッチが表に出ないように、ポツポツと手縫いの星止めが現れます。

 

 

 

 

 

もちろん、首後ろまで星止め。

それが前端の裾まで全部入ります。

 

 

 

 

 

もちろん、前身頃やラペル、肩の後身頃に至るまで、全てが”本毛芯仕立て”。

 

一般的には、毛芯(けじん)というものは、安価なジャケットには絶対に入れられません。

通常では、接着芯という接着剤を付けた生地を表地に貼り付ける。

 

 

でも、これは違う。

 

毛芯、しかも、ハ刺し(はざし)。

 

 

 

 

どういうことかというと、、、

 

 

 

 

 

Nobuyuki Matsuiのコレクションでこのようなシャツがある。

根底にテーラーの血が流れる松井さんだから、洋服の内部構造をいつもとても重要視しているのですが、このシャツはその内部のつくりを露わにしたもの。

ベージュっぽく見えるのが”毛芯”です。

ウールと馬の毛を織り上げたコシのあるもの。

 

 

 

 

それをカタカナの”ハの字”型に手縫いで表地に縫い付けていく。

これが、”毛芯”の”ハ刺し”仕立て。

 

このシャツではハ刺しが一列のみ入っていますが、今回紹介してるテーラードジャケットではそれが何列も平行に内側に入ってる。

 

 

 

しかも、

 

 

 

 

こういうように肩周りから背中にかけて。

このシャツは、毛芯仕立てのテーラードジャケットをつくる際の見えない内側の構造をモチーフに、そのまま表地の上に縫い付けたデザイン。

松井さんの思いとしては、このシャツを通して、本物のテーラーの仕事、洋服の内部構造を知ってもらいたいと考えてるのがこのシャツですね。

 

 

 

 

 

だから、このテーラードジャケットは、ラペルや胸下までの前身頃、肩周りの全ての内部構造が、先ほどのシャツのハ刺しが夥しい数になったVer.と思ってもらえたら良いです。

 

 

 

 

 

ラペルの裏を拡大すると、ポツポツと見える小さい点があると思う。

写真だと数がめちゃくちゃ少なく見えるけど。笑

これが全てハ刺しの証です。

 

そして、これがどのようなメリットがあるのか。

まず接着芯のジャケットと比べて、着用時にジャケットが肩に乗る感覚、胸に寄り添う感覚が、格段に、別格に、段違いに、全っっ然違う。

既成なのに、既成服では多くの方が体感したことのない着心地だと思います。これ、素晴らしい。

 

洋服を着た”瞬間”に感動する。

 

この感覚は、この世界のもの。

 

 

 

そして、着ること、時間を経ることによって、所有者の方への馴染みがハンパない。

 

これは、ハ刺しの手縫いによる恩恵がとても大きいのですが、

 

接着芯を用いた場合だと、表地と芯地が糊でくっついていることにより、そのまま固定されてしまいます。

 

しかしながら、ハ刺しの手縫いの場合は、手縫いならではの表地と芯地との間に余裕があり、それが着る人の体に寄り添ってくる。

また、内部で表地と芯地が少しずつ擦れることによって、自然に両者が一体化してくる。

 

そのために、フィット感があるのにも関わらず、着ていると自然な余裕と動作に応じた動きが出てくる。

 

オーダーでジャケットをつくる方もいると思いますが、現在ではオーダー界隈でもどれくらい毛芯とハ刺しを採用したものがあるのか分かりませんが、きっとオーダースーツでも下でも大体25万円オーバーになってくるのかな。

 

大体10万円台のオーダーであれば毛芯とハ刺しの仕様のものはまず存在しないと思います。もちろん、どこまでハンドで全体にどれくらい手を入れて生産されるものなのかにもよりますが。

 

 

 

 

 

 

もちろん、一つの顔の部分でもある胸の箱ポケットも総手縫い。

 

 

 

 

 

松井さん仕様の水牛ホーンが4列の袖口。

 

 

 

 

もちろん本切羽で、綺麗な額縁仕様。

写真では3つしか開けていませんが、4つ全て開きます。

 

 

 

 

 

 

裏地は、Nobuyuki Matsuiのオリジナルである、日本一分厚いキュプラ100。

フツーは薄く出来上がるキュプラ100ですが、これは超絶安心感のある生地です。

このキュプラ100の生地でブランドではパンツもつくってるくらいですからね。とてもしっかりしてる。

 

 

 

 

 

そして、今回、特別仕様に。

先述の通り、テーラー職人さんの仕方ない理由ではあるのですが、デザイナーが約束通りの納期で製作をできなかったということでとても素晴らしいものをプレゼントしてくれた。

水牛ホーン、一本からデザイナーの松井さん自身が削り出したスペシャルボタン。

 

見事な造形美を描き、美しく磨かれたボタンです。

これだけでオブジェとしても成立するくらいのレベル。

通常ではあり得ないボタンが付属します。

 

 

 

 

 

そして、それを裏で支えるのが水牛ホーンの焦がしボタンです。

この裏ボタンでさえも一個でもとても高額。

まあ、フツーは裏ボタン、力ボタンでは使われることはまずない。

 

 

 

 

 

あまりにも美しい佇まいのジャケット。

身長174cm、55kgの竹本。

細い体のラインだから、まだ余白がありますが、もう少し体格のしっかりした方でもきちんとフィットしてくれると思いますよ。

 

 

 

 

スペシャルボタン留めたVer.

このボタンが付いていることで誰が見てもフツーじゃないことが瞬時に認識されるものになりました。

 

 

 

 

自然に前に振ったアーム。

そして、S字のように柔らかく滑らかに下に流れ落ちる背中のアウトライン。

ウールとシルクの綾織り、ブランドオリジナルのかなり上質な表地なんですが、その美しさが際立ちますね。

 

 

 

 

 

 

バックビュー。

ウエストのシェイプも無理なく体のラインを演出してくれ、お尻が隠れるくらいの昔ながらのしっかりと着丈のとられた設計です。

 

そして、肩先から首に向けて立体的に、丸みを孕んでせり上がるアウトラインも文句ない。

 

素晴らしいジャケット。

 

今回、このTailored Jacketはデザイナー自身がボタンを水牛の塊から削り出しているアートピースの要素も含んでいること、正真正銘の”毛芯”、”ハ刺し”仕立てであること、表地もブランドオリジナルのとてもクオリティの高いもの、というような様々なことを組み合わせて製作してもらいました。

 

本来であれば、プライスは¥300,000-前後という仕上がりですが、今回は異例なことや、卸売りは全国で当店のみということもあるので、プライスは元から考えるとあり得ないもので納品をしてくれました。

 

全員が着てもらえるものではないけど、このようなジャケットには、いくら洋服が好きな方でも、人生を通して出会えることは、滅多にないと思います。

 

そもそも、セレクトショップで並ぶレベルの洋服ではありません。

 

でも、AUBETTの時にもこのブログに書いたけど、僕は洋服を取り扱う人間として、”洋服でここまでのことができる”ということを一人でも多くの方に知ってもらいたいと思っているし、このような洋服の力は、途轍もなく大きなものだと信じてる。

 

だから、いくら納品が遅くなっても、このジャケットは、きちんとしたクオリティのものを店頭で用意するということが重要だった。

 

このNobuyuki MatsuiのTailored Jacketを通して、洋服の素晴らしさをご体感頂けるととても嬉しいです。

 

 

 

洋服がお好きな方に、見てみてもらえたら幸いです。