秋冬シーズンが終盤になってきてますが、これから着てもらうのに良いのがあるのと、バイイングという仕入れの時には、これ、やってることを見てもらいたいって思ってオーダーをしたCOMOLI。

 

まあ、取り扱いをしているブランドが幸いにも少なくないから、なかなかこのブログで紹介をできずにそのシーズンが終わるものも多いんですが、今回タイミングがあるから紹介をできなかったCOMOLIの結構変わってる、バチバチに”COMOLIな”ものを紹介させてください。

 

ブランドのシャツの中でもプライスがプライスだからなんですかね。

 

自分が思ってたよりも頭を悩ませてくれる方が多かった印象です。笑

 

もっとモノ自体を持ち帰ってもらえると思ってたんですけど、考えをお持ち帰り頂くことが何回かあった。笑

 

だから、今日はなかなか店頭ではお話ができない側面をお伝えしますね。

 

COMOLIの2種類のシャツを紹介します。

 

こういう生地で、こういった縫製仕様で、こんなパターンで、このニュアンスを出せるのはCOMOLIじゃないと難しいんじゃないかな。

 

COMOLIの洋服は、小森さんの内面、ブランドのスタッフさんの内面が思いっきり現れた洋服だから、そのような洋服に対してマニアックな方々の欲する洋服を自分たちでつくってると思えば、そりゃ他とは変わった服ができるワケですよ。

 

僕もシーズンでいろんなブランドの洋服見るけど、COMOLIの展示会に行くときは全然違う頭で行くから。

 

まあ、どちらかと言うと新品の洋服を見る感覚じゃないっていうか。

 

ん〜まあ、難しいんだけど、結構頭の中を色で例えるなら無染色よりのベージュにしていくって言うか。

 

色で例えると。

 

真っ白とかじゃなくて、少しくすんだ頭の中で行くの。

 

まあ、どうでも良いけど。

 

紹介しますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

COMOLI

カシミヤ和紙 ワークシャツ

material _ CASHMERE 60%,和紙 40%

color _ NAVY

size _ 1,2,3

 

まずこれ。

カシミヤと和紙の”交織(こうしょく)”された生地のシャツ。

経糸に和紙。

緯糸にカシミヤ糸が使われて、それの平織りですね。

 

形で言うと、かなり野暮ったい形してますね。良い意味で。

 

洋服として見ると、決してスマートとはいえるシャツではないし、すごく変わった形してるけど、全体のバランスで考えるととても良くできてるシャツですね。

 

素材が素材だからラグジュアリーな生地なんですけど、全然そうとは見せない抜けに抜けた抜け感。

 

それを見事に醸し出すのがCOMOLIの群を抜いた感覚だと思う。

 

広めの身幅に生地が余るくらい太い上腕。

 

その広い身幅がそのままに近いくらいの分量で裾まで落ち、アームもボタッとしたボリュームが出る。

 

それによって独特の揺れるカシミヤと和紙の生地。

 

 

 

そして、それをつなぎ合わせるのがCOMOLIの特有の縫製仕様です。

 

 

“巻き縫い”。

 

表面も裏面も同じステッチが均等に出る、本縫いとは異なり、表はシングルステッチの二本針、裏は輪っか状にステッチが連なった”チェーンステッチ(環縫い)”。

 

生地と生地を接ぎ合わせるときに、同時に生地端の処理ができる”巻き縫い”。

 

このブログでも何度も書いてきたことのある”巻き縫い”ですが、わかりやすく言うと、ジーパンのお尻の接ぎ合わせは、大半がこの仕様です。

 

でも、まあ、ジーパンは大抵は縫うときは、リジッドの未洗いで、ノリがついて、厚みがそれなりにあって縫いやすいけど、それがこのくらいの柔らかい生地ですからね。

結構難しい。

 

まあ、それを解消するために、一発での巻きではなくて、下縫いがされてるんですけど、それでも尚、昔ながらのワークシャツのムードを演出するためにCOMOLIでは必要不可欠な縫製仕様なんでしょう。

 

“巻き縫い”。

 

 

 

 

 

表。

 

 

 

裏側。

 

COMOLIの洋服は、頻繁に巻き縫いをされてるものがありますが、ここまでその仕様をコレクションで多用するブランドはないですよ。

日本一のラインナップ数じゃないかな。

ワークブランドじゃないのに。笑

 

普通やらないから。

 

理由は、特有のシームパッカリングが出るということと、日本で巻き縫いができる人が多くないからです。

 

それと完成した時には、縫い代に独特のシワが出る。

 

それを嫌うブランドは多いんですが、COMOLIが狙ってるのは、その野趣的な表情。

 

これを手にしてもらった方が着用し、年月を経た時に、まるでヴィンテージの服かと思うくらいに変化していることが狙いどころ。

 

それを想定してつくってあるのがCOMOLIの服だから、最初はすんごい違和感がある。

 

何度も何度も着て、時間を経て、やっと辻褄が合うっていう服ですね。

 

COMOLIの洋服は。

 

だから、バチバチにこのシャツもその考え方が反映されてる。

 

 

 

 

 

こういうとこですね。

 

 

 

 

 

 

そして、肝心の生地。

カシミヤの毛羽立ちが最初から感じられる。

まあ、これまたウルトラ変わってるんですけど、このシャツ、製品洗い、つまりはワンウォッシュかけられてますからね。

 

フツーはそんなことしないけど。

 

 

 

 

 

 

これが、マイクロスコープで拡大した写真。

先述の通り、経糸が和紙。

この和紙は、二本の糸が並列してるのがわかると思う。

つまり、単糸の引き揃えです。

 

そして、毛羽立ちは全てカシミヤ繊維。

マイクロスコープで見る限りは、カシミヤ糸は単糸でしょうね。これも。

でも、糸の様子を見るとそこまでギュッと強く撚られてるカシミヤ糸ではないですね。

だから、着用時の柔らかさがふんだんに感じてもらえると思います。

 

COMOLIの小森さんが言ってましたが、このカシミヤはイタリアの糸を使ってるそう。

ちなみに次の22SSシーズンは、イギリスのカシミヤ使ってる同シリーズがある。

 

秋冬で、イタリア。

春夏で、イギリス。

 

イタリア製のカシミヤの方が柔らかさと暖かみが長けてるんですよ。

春夏のイギリス製のカシミヤになると、これよりもかなりカサカサして乾いてる。

今回紹介してるイタリア製のカシミヤの方が肌あたりや保温力、着心地という面では優秀ですが、春夏のイギリスのものは、どちらかというと調湿効果に優れてるって感じかな。

 

まあ、春夏のはオーダーしてないんだけど。笑

 

 

 

 

 

 

更に、拡大。

そして、この生地は、イタリア製の上質なカシミヤに加えて、経糸の和紙が効果を発揮してる。

なぜ今回のカシミヤ和紙のシャツを仕入れたのかというと、これが大きなポイント。

 

単純なカシミヤ100のシャツだと、こういうタッチにはならないから。

 

先ほどの次の春夏シーズンのイギリス製のカシミヤは調湿効果はあるんだけど、今回のもこの和紙でそれは充分に機能はあるから、カシミヤの保温力と肌あたりや空調効果、和紙の耐久力と衣服内の蒸れをなくす機能のハイブリッド型が素晴らしいと思った。

 

カシミヤ繊維の持つパワーと、和紙のポテンシャル、その天然繊維の良さをイギリス製のものよりもバチバチにご体感頂けると思ってます。これ。

 

まあ、ワンウォッシュされてるので、家庭での取り扱いでは、手洗いがお勧めだけど、洗って使っていくと更なる膨らみが生まれ、着用者の方の体にはもっと寄り添ってくれると思いますよ。

 

この時期は、インナー使いには最適です。

 

あとは、まあ、屋内で過ごす時にはアウター使いとしてもとても心地良いと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

COMOLI

ウールシルク ワークシャツ

material _ WOOL 70%,SILK 30%

color _ PINK

size _ 1,2

 

そして、次はこれ。

ピンクのチェック使いがかなり独特のシャツです。

見た瞬間に惹き込まれた柄とカラーの組み合わせなんですが、紙一重ですね。いい意味で。

世の中のチェックパターンとは全然違うCOMOLIのオリジナル。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

脇下、裏。

 

 

 

身頃脇、裏。

 

こちらも先ほどのカシミヤ和紙のシャツと同様に、縫う距離が長い箇所には、”巻き縫い”が施されてる。

 

そもそも巻き縫いというのは、ジーパンをはじめとしたワークウェアに多用されていた縫製仕様なんですが、他のミシンと性質上異なり、下糸=ボビンが必要ないのが特徴なんですよ。

 

もはや小学生の頃にミシンを家庭科の授業でやってから覚えてない漢の方がほとんどだと思いますが、ミシンというのは、上糸と下糸が必要で、上糸はたくさんの糸が巻かれた束からそのまま糸を引っ張ってこれるけど、下糸はその糸の束から小さいボビンに巻き替えて、針の送り歯のところにセッティングしなきゃならない。

それは、家庭用ミシンでも工業用ミシンでも大体の基本構造は一緒。

 

そのため、たくさんの同じものを量産する必要性があった昔ながらのワークウェアは、ミシンにセットしたボビンの下糸がなくなった場合に、ボビンに巻き替える作業はロスだった。

 

そこで”巻き縫い”ができる環縫いミシンというものが重宝された。

 

このミシンは、上糸と同様に下糸もそのまま糸の束から引っ張って糸を使うことができる。

 

更には、先に少し書いたけど、パーツ同士をつなぎ合わせる際に、縫い代が互いに巻き込まれることによって、同時に生地端の処理までできてしまうという時間を大きく省ける優れもの。

 

だから、当時はそれが多用されているワークウェアが多かったんですよ。

 

特に名のあるミシンだと、アメリカのユニオンスペシャル社製の巻き縫いミシンが一番かな。

 

今でも岡山や福山のデニム産地ではこのユニオンスペシャルのミシンは重宝されてると思う。

 

でも、今ではそのミシンはもちろんつくられていないし、とても古い機械ということもある。

先日、AUBETTとのP.(P).Cでカネタ織物さんに行った時に、古いシャトル織機がたくさんの綿を被って保存されている写真を掲載しましたが、ユニオンスペシャルの古いミシンも同じように、完品で使うことができなくてもパーツさえも今はつくられていないから、使えるパーツを取り出すために壊れたミシンが保存されていたりもする。

 

更にそれに加え、昔は合理的な生産方法として重宝されていた巻き縫いも、今では難しい縫製仕様の一つとされる。

 

通常、ミシンで生地を縫う時は、手を真っ直ぐ置いてそのまま生地を送り出せば良いけど、巻き縫いはそうはいかず、分かりやすく例えると、生地を両方の手で持ち、それをクロスさせるようにしてミシンの針に送り出さなければいけない。

 

これかなりの難易度で、ただ単純に真っ直ぐ縫うだけでもシロートには到底できない。

それに加え、曲線で構成されるアームホールや生地が多く重なる部分などでは狂ってしまいやすい。

だから今では、物理的なミシンの必要性もあるし、技術も必須になってくるから、巻き縫いが施されている洋服は年々少なくなっているように感じます。

 

まあ、多分このCOMOLIのシャツはユニオンスペシャルのミシンではないけど。

それでも、その巻き縫い特有の空気感をここまで上質な生地で実現するのはCOMOLI特有の考え方だと思います。

 

 

 

 

 

 

そして、この生地。

遠目から見るとグラデーション状にボヤけたように見えるチェックですが、それも糸の一本一本の配置で生み出しています。

こちらも先ほどのシャツ同様に、2種類の素材を”交織”した生地です。

 

 

 

 

 

 

これ。

いろんな色の糸が入ってるのが見れる。

それぞれの糸を先染めで複数色に染め上げ、それを思い描いた完成形にするために配置をしたチェック生地です。

単調なチェックの構造ではなく、グラデーション状に持っていってるのが重要ポイント。

 

経糸は、シルク。単糸、だと思う。

そして、そのシルクもマイクロスコープで見る限りは、絹紡糸(けんぼうし)というもの。だと思う。

 

シルクには、段階があり、

 

・生糸(きいと)

・絹糸(けんし)

・絹紡糸(けんぼうし)

・絹紡紬糸(けんぼうちゅうし)

 

というのが大別してある。

僕は、その段階で一番好きなのは、絹紡糸。場合によるけど。

シルクの滑らかさ、柔らかさ、肌あたり、耐久性、見た目、そのバランスを考えた時にこのようなものではベストバランスだと思ってる。

 

それをギチギチではないけど、一定密度で配置した経糸。

 

対して、緯糸は、ウールのSZ双糸。もちろん、洋服としての柔らかいニュアンスを出すために強撚ではありません。

経糸の絹紡糸と比較すると、緯糸のウールの密度は高いです。

あとは、毛羽立ちがある生地ですが、ウールの糸そのものには毛羽立ちはあまりない。

生地の表面を掻いてるから表には毛羽立ちが意図的に生み出されてる。

 

しかしながら、裏面は毛羽が少ないから、肌あたりは、分かりやすく例えるとサラッとしてるってイメージです。

 

だから暖かみが強いシャツで、秋冬のみっていうよりは、どちらかというと春とかまで対応してくれる生地だと思ってもらえたら良いです。

 

 

 

 

 

 

更に拡大すると、小さな世界でのネオンカラーが繰り広げられてる。

 

やはり、シルクの方が糸の表面がツルツルな感じがわかると思います。

あとは、糸を構成する繊維の段階で見た時には、シルクとそこまで遜色ないくらいの細さのウール繊維ですね。

だから、肌への不快感は全く心配要りません。

 

 

洋服のデザイン上のディテールに関しては、見てもらえたら分かると思うので省きますが、カシミヤ和紙のシャツもウールシルクのシャツも、生地や縫製仕様、形の余白のバランスで考えるととても良くできてるし、これはCOMOLI以外ではなかなか洋服として成立することが難しいと思う。

 

COMOLIというブランドに限らず、偏った洋服がお好きな方には良いかもしれません。

 

ブランドで目指しているのは、50年後に古着として存在をする洋服。

 

小手先の洋服づくりではなく、もう、何十年も洋服づくりを行なってきた小森さんのマインドがとても反映された洋服ですからね。

 

まあ、3月頃にベイクルーズの金子さんが言ってたけど、小森さんは昔からすごく変わった洋服、悪く言えば当時は売れない洋服をつくっていたそうで、昔から小森さんの好きなものって大きくは変わらないそうです。

 

だから、日本では今は大きな評価を得てるけど、僕も小森さんと展示会時にはよく話をするんですが、まあ全然世の中に”売りに”行ってないのがビンビンに感じられる。

 

僕は金子さんが言われるような以前の頃は知らないですが、さっきも言ったけど、きっと昔と変わらず、今も好きなものをつくってるっていうのをすごく感じられる。

 

今では、世の中にたくさんのブランドが存在し、ブランドのコンセプトでよく”自分が着たいものをつくった”とかってワードを目にするけど、その割には同じような服がヅラヅラと多いし、そういうのはさすがに一目で分かっちゃう。

 

洋服のその先が感じられないっていうか。

“洋服止まり”って言えば良いかな。

 

でも、COMOLIの小森さんがつくってるものは、洋服の見た目から、その先にすごく奥を感じるの。

それが小森さんやCOMOLIチームのパーソナリティが反映されて、それによって生み出されてる洋服っていうのが感じられる部分かな。

 

まあ、だからこんなストライクゾーンの少ない洋服もつくることができる。

 

そういう洋服ってとても奥行きを感じられるから、良いものだと思いますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

COMOLI、見てみてください。