MOTHER HAND artisan(マザー ハンド アルチザン)。

 

徳島で永井さん夫婦の手でつくられるセーター。

 

当店では、欠かすことができないセーターで、僕が山内と同時に、一番最初にバイイングをしたブランド。

 

当時20代半ばで、右も左もわからない中でバイイングをしていた僕にいろんなことを教えてくれたし、少しずつ成長してきた姿も知ってくれてるから、永井さん夫婦にはなかなか頭が上がらないですね。笑

 

取り扱いをした最初の方は、まだベルギー在住だったから当時はベルギー製でしたが、現在は徳島県の山奥でセーターをつくるブランドです。

 

全てのセーターが、手横編み機という昔ながらの道具を使い、他のセーターでは絶対にあり得ない理論でつくられます。

 

そもそも手横編み機というものの存在が日本でも世界でも、もうほとんど存在しないそうです。

 

しかも、このブランドは使っているのが、”家庭用”の手横編み機。

 

今日本で現存するものでもそれは、”工業用”の編み機だそうで、”家庭用”でつくられるものとは全く違う。

 

そして、それを駆使し、完全なる独自の工程で生産される。

 

それがMOTHER HAND artisan。

 

 

 

 

 

 

2021年、2月。

 

MOTHER HAND artisanのセーターが生産される徳島のアトリエへ。

 

 

 

まだ雪が残る徳島。

もともと目的地となるアトリエが山奥にあるから徳島に入るとそのほとんどの道中に見える、山。

 

 

 

 

川の水も澄み、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アトリエに近づくに連れて、どんどん緑が深くなり、山に近付いていく。

 

 

 

 

 

山に入ると、最初は、ガードレールがあった道も、

 

 

 

 

次第にそれがなくなり、雪も多く残る。

もうね、こういう場所だから製作にも集中できるし、ここだからこのクオリティで出来上がるんだってことがバチバチに感じられる。

そして、この景色見ると寒そうだからセーター着たくなる。笑

 

 

 

 

 

そこには整然と白のみのセーターのサンプルが並ぶ。

 

 

 

 

 

ここから生み出されるMOTHER HAND artisan。

見た目は極シンプルだけど、そこに込められたものは圧巻。

 

 

 

 

 

とても空が近く、森に囲まれ、空気が澄んだアトリエ。

この写真に映る建物はアトリエじゃないけど。

 

 

 

そして、ここがセーターが生み出される現場。

いくつかの手横編み機が整然と並び、ピンと糸が張ったような緊張感が感じられる空間。

 

 

 

 

 

ブランドが使用する、家庭用手横編み機。

べら針が立ち並び、ここに糸がかけられ、セーターが編まれる。

 

 

 

 

複数台の手横編み機を所有し、ゲージ毎にそれを駆使して製作されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このハンドルを手動で動かすことで一目ずつ編み地が形成される。

その編み機の性質上、一着をつくるためにかなりの手の力を使うそうです。

 

“家庭用手横編み機”は、その名前の通り、昔は日本の家庭にも存在していたことがあった古い道具。

でも、時代の流れとともにその数が減り、それを使いこなせる人もどんどん少なくなっていった。

今では手編みのセーターよりも珍しく、コンスタントに量を出せる”工業用”の手横編み機ならまだしも、先述の通り、”家庭用手横編み機”そのものの存在も、それでブランドをやり続けている人もMOTHER HAND artisan以外では存在しません。

 

ただ、このブランドはそれだけじゃない。

 

所有する人、着用する人が最も快適に、末長く着続けることができるための設計。

それが独自の理論に基づいてる。

 

僕は、このセーターを”神のセーター”と呼ぶ。

 

マジで。本当に。

 

 

今シーズンは、当店は4種類の展開です。

でも、まだ3種類しかできてないの。

手がかかるものはそういうこともあるね。

 

だから、今日は先に3つを紹介しますね。

 

 

 

 

 

 

 

MOTHER HAND artisan

GENT

material _ SUPER FINE WOOL SUPER 100’S 75%,ANGORA 25%

color _ BORMIDA melange

fit _ PLUS FIT

size _ 3,4,5,6

 

 

 

 

 

 

MOTHER HAND artisan

GENT

material _ SUPER FINE WOOL SUPER 100’S 75%,ANGORA 25%

color _ GRIGIO 6

fit _ PLUS FIT

size _ 3,4,5,6

 

これまで何度もお話をしてきましたが、MOTHER HAND artisanの”黄金比率”と言われる、スーパー100ウールが75%と、アンゴラ(アンゴラウサギ)が25%の混率のニット。

 

 

 

 

 

クルーネックのGENT。

 

 

 

 

 

ご覧の通り、ネックや袖、裾の生地端にリブが存在せず、きちんと編み地の端を処理し、編み地の特性である”カーリング”を利用してる随所。

 

 

 

 

 

そして、このセーターを形づくるいろんなところにMOTHER HAND artisanの技が隠れてる。

まあ、生地端のニットの丁寧な処理は実物見たら分かるとして、

 

 

 

 

 

まずは、ここ。

少しだけ、気持ちボートネックっていうか、そこまでは行かないけど、横に開いたネックの形状です。

そして、そのネックは前後ともにカーリングしています。

このセーターを着脱ぎするときに最も負担がかかる場所が、ネックの両サイド。

 

 

 

 

ここですね。

この両方の左右だけ、端がカーリングしてない。

これは不可のかかる両サイドだけ、編み地の糸を数倍太い糸に変更し、編み機にかけ直し、そして、三角形状のより強度のある硬い編み地にしている。

これは触ってもらえたら分かる。

どういうことかというと、通常洋服というのは、その形が完成した後に、最後に補強のための仕様を”加えます”。

でも、そうすると見た目に”プラス”されてしまう。

それがMOTHER HAND artisanの目指すこととは違うの。

 

“引き算”のセーター。

 

とにかく見た目に加算して、加えて加えて、ということではない。

だから、手横編み機で編み進め、補強が必要な場所になったら、編み地に最初から補強を組み込んでしまってるの。

見た目だけでは、”引いて引いて”、過剰に主張することがない、外見上は、シンプルなセーターを目指してるんですよ。

 

 

 

 

 

 

そして、このセーターですが、大きな特徴として、

 

“パーツを一体でつくる”ということがある。

 

「ボディ」と「アーム」。

 

この二つのパーツだけで構成されてる。

 

でも、それが超絶複雑難解。

 

本来だと、「ボディ」も”前身頃”と”後身頃”という二つに分けられるんですが、MOTHER HAND artisanは、その前身頃と後身頃を別々で分けることなく一続きで編み上げている。

それが分かるのが、上の写真の肩。

 

前身頃を編み進め、肩の周囲まで達すると窮屈さを感じないように編み地の方向を切り替え、そのまま編み進める。

そして、更にそのまま後身頃まで到達すると、また編み地の方向を切り替えて、編み地が途切れることなく編み進めていく。

 

だから、それにより、セーターの内側、つまり肌側に縫い代や生地の重なりがなくとても”フラット”な構造になってるんですよ。

 

 

 

 

そして、そのフラット構造はアームにも活かされてる。

でも、これがまたもう一発、ヤバい。

 

そもそも袖は、どんな洋服でも、肩から袖先に向かうに連れて形状が細くなっていきますね。

写真のように。

アームホール付近の肩口の幅と袖口の幅が全然違うじゃないですか。

 

 

 

 

これ。

これは、腕の内側にあたる部分の写真です。

よ〜く見てください。

二つの方向から、編み地の”目”が中心に向かって交わってるの分かりますかね?

通常のこの手の編み地のものなら、この裏側に縫い代が存在するはずです。

 

 

でもね、

 

 

 

 

ほら。

MOTHER HAND artisan、シームがないの。

 

このおかげさまで、一切の不快感がありません。

だから、僕も今日は半袖Tシャツの上から着てる。

 

とにかく着ていて何も感じない。めちゃくちゃポジティブな意味で。

 

これは、”増し目”、”減らし目”という技術。

 

その技を駆使して、通常なら平面的に編み上げた大きな編み地を、パターン通りに裁断して、縫製して繋ぎ合わせていくことがフツーだけど、そうじゃない。

 

設定した完成形を目指して、編み目を増やしたり、減らしたりして、それを縫製せず、つなぎ合わせることで立体的な姿を生み出している。

 

これがMOTHER HAND artisanクオリティ。

 

 

 

 

 

そして、その”増し目”、”減らし目”は、アームだけではなく、身頃にもふんだんに入ってる。

アームホールの内側にえぐられるような箇所は、目を減らして編み進める。

編み進めるうちに、編み目を増やしたり減らしたりするテクニックを手横編み機を駆使することで着用時にとても快適なセーターが出来上がる。

 

 

 

 

 

 

これが裏。

そうして編まれたMOTHER HAND artisanのセーターは、縫製されている箇所が二箇所しか存在しません。

 

アームホールと身頃の脇。

 

この二つだけ。

 

 

 

 

 

内側の首周りには何も存在せず、フラットでとても肌のあたりが快適。

 

 

 

 

先述の通り、袖の内側にもシームは存在しません。

 

 

 

 

 

これが、身頃と袖のつなぎ合わせ。

ニットでは縫い合わせることを”リンキング”と言います。

アームホールは、手でのリンキング。

つまり、アームホールの袖付けは、手縫いです。

 

しかもね、ニットという世界はとても”算数”の世界で、編み目の一つ一つが生産の際にきっちり管理されてる。

 

特に、先述の通り、”増し目”や”減らし目”というように目の数をとても重要視して編んでるセーターだから、このリンキングは全て一つ一つの編み目を数え、身頃と袖を縫い付けていってる。

 

更には、洋服というのは、その構造上、身頃のアームホールと袖を比較すると、袖の方が幅が大きくつくられます。

それは肩が動くようにすることが必要だから。

同じ大きさで両方をつくり、それを組み合わせてしまうと肩が窮屈過ぎて動かすことが困難になる。

だから、袖をアームホールよりも大きくつくり、それを身頃に組み合わせることで肩に丸みが生まれ、スムーズに動作ができるようになるのが洋服の仕組み。

 

これをMOTHER HAND artisanでは、永井さんがアームホールよりも大きい袖を一つ一つの目を数え、均等に手縫いで目を振り分けていくことでその快適な肩の形を実現してる。

 

まさに算数の世界。

 

 

 

 

 

アトリエで少しやってみてくれたのがこの様子。

とてつもなく地道な工程です。

しかもそれが一着とかじゃないですからね。

当店で取り扱いを行うモデルは、全てがこの工程を経て完成しています。

 

 

 

 

 

対して、身頃の脇は、このようにリンキングマシンにかけて縫合していきます。

リンキングマシンって言っても超アナログ。

写真のように編み目を一つ一つマシンのパーツに通していって、それをハンドルがついた独特な道具にセットし、取手をクルクルと回して縫い合わせていく。

身頃の脇は、直線だからそのような道具を使うことができるみたいですが、セットインスリーブのアームホールは立体だからそれが使えないそうです。

 

 

 

 

 

 

そして、そうやって時間をかけて一着ずつ生産をするMOTHER HAND artisanのセーターですが、もちろん素材も素晴らしい。

 

冒頭に書いたように素材は、ウール75%とアンゴラ25%。

 

これは何年もかけて行き着いたブランドの代表的な素材。

僕もこの素材に魅せられて、何着もこのブランドのセーターを着てるけど、素晴らしい。

 

最初から肌への直接当たるチクチク感は皆無。

でも、最初は、もちろん良いんだけど、これで満足して欲しくないの。

 

 

 

 

 

これ。

全てのセーターには、手入れの方法が記載された下げ札が付きます。

 

そう。

 

洗濯の方法が書いてある。

 

 

 

 

 

 

このブログを読んでる方で英語しか読めない方が、もし、もし、もしもいても大丈夫。

英語でも書いてる。安心して。

 

 

 

まあ、そんなことは置いておいて。

 

 

この方法に従って洗濯をしてもらったら、この素材がグングンとポジティブに変化する。

 

圧倒的な肌あたりに変化を遂げ、そして、目が詰まり、保温性も向上する。

 

これ、圧巻。

 

神だね。神。

 

MOTHER HAND artisan。

 

多くの方々が持つ、ニットに対しての負のイメージ。

 

洗濯NG。

 

その考え方が存在せず、洗濯を推奨されてる。

 

まあ、僕は、この方法も無視して、洗濯機にぶち込んでるけど、それは自己責任でお願いします。自己責任で。

 

そして、洗濯と着用を繰り返すうちに、着用者の体へのハンパない馴染みが起こり、もう二度と脱げないセーターへと進化する。

 

これが、MOTHER HAND artisan。

 

 

 

 

 

 

さっきから、よく登場してるブルーメランジ系のカラーと限りなくブラックに近いGRIGIO 6。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どちらかというとグレーという分類だけど、少し赤みがかったブラウンっぽい表情も感じる。

 

色は、好み。

どちらを選ぶか、

任せます。

 

 

 

 

 

 

 

MOTHER HAND artisan

GEEL

material _ SUPER FINE WOOL SUPER 100’S 75%,ANGORA 25%

color _ ALABAMA

fit _ PLUS FIT

size _ 3,4,5,6

 

そして、これ。

先ほどのGENT(ゲント)と同様の工程ではあるのですが、それを大きく編み上げ、”縮絨”をかけたモデルGEEL(ゲール)。

先ほどのGENTは、洗うことで目が詰まっていきますが、こちらは最初から目が詰まってる。

 

でも、これも同様に洗っていくと、更に、目が詰まる。

僕は、今日、これを書きながら最初のベルギー生産時の時の縮絨ニットを着てるんですが、めちゃくちゃ目が詰まってる。

すんごい厚み。

だから、今日みたいな日でも下に半袖のTシャツを着てるんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは少しだけ首が高い。

タートルネックまではいかないんだけど、着ると首に沿ってスッと立つ感じ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、新品の状態でもこの厚み。

確かに分かる目の詰まり。

 

 

 

 

どことなくマットな見た目してると思いますよ。こちらは。

 

 

 

 

裏。

こちらも限りなくシームが存在しません。

ニットではあまりないこの独特な重厚さを何も邪魔するものがなく体感できる。

 

 

 

 

首への当たりもきっとご満足、いや、感動頂けると思います。

 

 

 

 

最初から目の詰まりを楽しむのも良いし、ご自身で目を詰まらせていくのもオーケー。

僕は両方を存分に体験してるから、GENTとGEELは用途を含めた好みの問題ですね。

 

そうそう。

よくお客様に聞かれるのですが、洗濯したら縮むかどうか。

それは縮みますね。

そりゃ洗ってるから。

でも、物凄い縮むということではなくて、少し縮むってくらいです。

 

そして、タグに記載されてる洗濯の方法はとても簡単だし、それにはアイロンを最後にかけて仕上げてって書いてるんですが、アイロンで、反対にとても大きくもできます。

だから、沸騰間近の高温のお湯で、アルカリ洗剤を使って、揉み洗いしない限りは、ご心配頂かなくても大丈夫だと思います。

 

ですので、このセーターは、新品の状態だけではなく、それを着ていった、その先にご期待頂いて選んでください。

きっとこれから迎える冬に何度も何度も着てもらえるはずですよ。

 

 

 

そして、GENTについては¥39,600-(税込)、GEELは¥48,400-(税込)です。

 

これはMOTHER HAND artisanじゃないとあり得ないプライス。

 

クオリティが価格を何倍も大きく凌駕してると思います。

 

お好きな方は見てみてください。

 

明日、19日(金)より発売しますね。