カネタ織物さんとの架け橋をしてくれたAUBETT。

 

AUBETTとこのような取り組みを一緒にやりたかった。

 

AUBETTとじゃなきゃダメだったし、そうでなければ絶対になし得なかったと思います。

 

 

そもそも、僕は日頃店頭に立ち、来店頂くお客様方と話をしているんですが、店をやってる一人の人間として考えていることは前のブログで書いたように思っています。

 

洋服で”人生が変わる”という表現を先にしましたが、それは本当にそうだと思っているし、そのためのまず最初の入り口には、”知ること”、”気付くこと”があると思うんです。

 

僕は今のようにCASANOVA&COでやる以前に、長い期間ではないけど、縫製工場で勤めていたことがある。

その時には、縫製を行う女性の方々と一緒に縫製ラインに入ったり、芯貼り、アイロン、特殊ミシン、延反、裁断の工程をやっていた。

そして、時間が空けば貴重なユニオンスペシャルで巻きチェーンばかり縫って練習してた。笑

 

その時のことは今にとても役立っていることは多い。

でも、その当時から変わらず思っているのが、やっぱり洋服って店頭に並ぶまでには、とても時間がかかり、たくさんの工程を踏んでるのにも関わらず、それがあまりにも公開されてなさ過ぎているし、それに伴って評価される機会がなくなってしまっている。

 

仕事ってもしかしたら、そのように陰ながらやることなのかもしれないですが、本来とても文化的な存在であるはずの”洋服の世界”。

しかも、きっと”心にプラスに作用する”、とてもポジティブな影響を与えうるものだと僕は信じているから、そういうことが社会に知られることは必要だと思っています。

 

意図して技術を残そうとしなければ、どんどん消え失せていってしまうと思う。

 

だから、現状では、生産者の方は実際にその服を”着る人”の姿が想像できないことは多いし、反対に、着る人も”生産者”の顔って見えてこない。

とても閉ざされた、謎の閉塞感。

 

それは、先人たちが築いてきた日本の”洋服文化”のシワ寄せかもしれないし、より便利になった現代のペラペラでスピーディーな社会の在り方によって、更に加速してしまっていると思う。

 

 

その状況を伝えることができ得るのは、エンドユーザーさんと直接会うことができる小売店じゃないかと思うし、”川上”にもいたことがあり、今は”川下”にいて、洋服ブランドという”川中”と直接やり取りをしている、僕がすべき一つのことだと思ってる。

 

だから、今回は僕が感じていたことが、少しそういう今の当たり前の世界に対して、どうにかなる足がかりになれればと思う。

 

 

 

そして、このようなことを考えていたんですが、今回は、それがどうしてもAUBETTとじゃなきゃダメだった。

 

それは、僕自身がAUBETTと出会い、今までに知らなかったことを知ることができたし、他の誰にも真似できない技術で生み出されるAUBETTの洋服、AUBETTの考え方は、皆様に知ってもらえるべきだと思ったから。

 

AUBETTとは、ある種、”思想”だと思う。

 

そして、単なる半年のサイクルで洋服をつくり出している人たちではない。

 

卓越した技術とその伝承。

 

独りよがりではなく、その素晴らしい”技術と考え方”を洋服を通して伝えていくために、洋服をつくり、それが100年、200年と続くことを目指している。

 

つまり、それは、デザイナーの杉原さんとディレクターの吉村さんは、自分たちができなくなった後でも、誰かに託すことができるようにしていきたいと考えてる。

 

 

そういうAUBETTとの出会いは、不意に訪れた。

 

それが今に続いてる。

 

幸い、たくさんの高濃度なブランドの洋服を日頃を取り扱いしているし、取り扱いをしていなくとも展示会に行ったり、見ているブランドの数はかなりあるんですよ。

それでも、AUBETTの洋服は、僕の心を突き刺した。

 

 

初めての出会いは、2年くらい前。

 

結構最近。笑

 

展示会でのこと。

 

展示会というのは、文字通り、ブランドのコレクションの洋服が展示され、そこに各店のバイヤーが訪れ、仕入れをする場なのですが、そのAUBETTの展示会で、僕は洋服を追究する人間として一歩成長させてもらうことができたんですよ。

 

具体的にいうと、中でもそれが強かったのが、当店でも取り扱いを行い、春夏シーズンに既に販売をした”Baggy Trouser”。

 

そのトラウザーは、簡単にいうと前から見るとスッと綺麗なアウトラインを描き、横から見るとフロントとは想像もつかないスケーターパンツのようなフォルムを形成しているものだった。

 

そして、そのAUBETTが描くトラウザーのアウトラインを実際に実現するのが、カネタ織物さんの生地でした。

 

見たことのないフォルムを形成するトラウザーで、触ったことのないタッチとテクスチャーを持つトラウザー。

 

それを手に取った瞬間、履いた瞬間、僕はこれまでの洋服人生で見たことのない素晴らしさを感じて、とても感動した。

 

今となっては、蓋を開いてみれば、AUBETTはそのバギーパンツを「既視感のないチノパン」をつくることを目指していたそうですが、まさにそういうことだった。

 

その下半身に寄り添って立体的に下に流れ落ちるアウトライン、そして見事にそれを実現させるカネタさんの生地。

 

とても衝撃的なトラウザーで、その時にも杉原さんが言ってたのが、「ドレープ」という言葉。

 

“ドレープ”というのは、よく洋服を表現するために使う言葉ではあるのですが、AUBETTが使う意味はそのようなものではないの。

 

それが、AUBETTの「圧巻の技術」。

 

僕もそうでしたが、このブログを読んで頂いてる方、皆様がこれまでに見たこと、聞いたことのある”ドレープ”というものは、例えば、ワイドパンツで、裾の幅が広く設定されているために、動いた時に”生地が揺れ動く様子”をドレープと言うと思う。

日本でも世界でも一般的にはその生地の揺れて動く状態を表すことが”ドレープ”の意味合いなんですよ。

 

でも、AUBETTのはそうじゃない。

 

デザイナーの杉原さんは今は日本に住んでるのですが、それまではフランスにいたことがある。

 

当時は、ステファノ・ピラーティさんに師事していた。

 

その時の服づくりは今、杉原さんの礎となってAUBETTに活かされている。

 

どういうことかというと、”立体裁断”。

 

加えて、原型といわれる型紙のパターンを一切使わない洋服の設計。

 

通常は、洋服の設計図となるパターンは、平面での作図、もしくはCADというデジタルでの作図の二次元の世界でつくられる。

 

でも、AUBETTの生み出す洋服は、全て違う。

 

ただ、デザイナーの杉原さんはこれまでもずっと服づくりに真摯に向き合ってきた。

だから、本当はつくるものがめちゃめちゃ尖ってる。

 

その杉原さんの実力を引き出し、ブランドとして導くのがディレクションを行う吉村さん。

 

吉村さんはデザイナーの杉原さんとは反対に、これまでは洋服に携わってこなかった。

 

グラフィックの世界で活躍し、尖りまくった杉原さんの服づくりを導き、引き出し、開発を行う。

 

この二人が生み出す洋服がAUBETT。

 

そして、その”立体裁断”については、この先にAUBETTのデザイナー杉原さんとディレクターの吉村さんの話を掲載するつもりだから、そこで見てもらえれば良いのですが、”ドレープ”の考え方が、まるで違う。

 

 

AUBETTが考えるドレープは、大きなサイズ、幅のある分量での生地の揺れ動きではなく、「”身体”と”布”の間に空気を入れ、”造形するため”のドレープ」。

 

それを全ての洋服で生み出している。

 

僕がAUBETTの洋服を手にした時に感じた感覚は、その杉原さんの”礎”と吉村さんの”考え方”から来ているものだった。

 

それはAUBETTの洋服を手にした方が、外見ではとても輝けることはもちろん、

 

“知らなかったことを知り、感動できる洋服”

 

という、僕自身が経験したことと同様に、AUBETTの洋服を通して「内面に作用する」とてもポジティブな経験をしてもらえると確信しています。

 

それは、どんなブランド、どんな洋服でも体験することはできません。

 

今では世の中に無数に存在する洋服。

 

以前もこのブログで書いたことがあるし、店頭にお越し頂ける方には話をさせてもらうことが多いのですが、世の中に洋服ってもうとっくの昔に溢れてるじゃないですか。

でも、そのほとんどが小手先の模造品、コピー品だと僕は思ってる。

 

今では洋服をつくる企業や、個人でも”ファッションブランド”として洋服をつくっている人は本当にたくさん、星の数ほど存在する。

 

でも、それは企業であれば企画部に配属されたから、単純な作業として洋服を企画してたり、どこか売れてる既存の服があれば、それにとても酷似した服をつくったり、そういう小手先のものが蔓延しています。

 

だから、世の中が、その人しか生み出すことができない、”オリジナル”のもの、”本物”と呼べる洋服だけになったら、きっと世界に洋服ってものすごく少ない数しか存在しないはずです。

 

AUBETTの生み出すものは、デザイナーの杉原さんがステファノ・ピラーティさんの下で学び、それを身に付け、更に、吉村さんが考えていること、目指していることが加わり、二人でしか生み出せない、

 

「二人の心がぶつかり合い、湧き出た、”本物の洋服”」

 

だと僕は思っています。

 

デザイナーの得てきた技術。

そして、そしてディレクターが何を考え、目指しているのか。

その二人のとてもパーソナルなこと。

AUBETTにはそれが100%、ダイレクトに、洋服に反映されている。

 

これこそ、まさに”オリジナル”。

 

そんなブランドは日本でも世界でもほとんどないと思う。

 

 

だから、当店ではそういうブランドを大切にしたいし、そういうブランドと一緒にやっていきたいと思ってる。

 

カネタ織物さんの技術も、AUBETTの技術も思想も、絶対に他の誰かが真似できるようなものではありません。

それは皆様に知ってもらいたいと心から思っているし、世の中に評価されるべきことだと思います。

 

素晴らしい考え方がありながら、とても感動できる洋服をつくるブランドです。

 

 

 

 

AUBETT。

 

 

 

 

続く。。。