フリーカットの強撚Tシャツ以来の登場となります。山内。

 

今回は、少し変わったタイミングなのですが、この時期に見てもらいたいと思って時期を少しだけずらしてつくってもらいました。

 

 

良いものつくってくれました。

今回も。

少し紹介しますね。

 

 

 

 

 

 

山内

平織限界密度ノーミュールシングウール・テーラードジャケット

material _ nomulesing wool SUPER140s

color _ black khaki

size _ 2,3,4,5

 

これ。

山内の山内さんがいつも一緒にやってる機屋さん、葛利毛織さんでつくった、いわゆるオリジナル生地を使ったテーラードカラースタイルのジャケットです。

この生地、山内オリジナルというだけあって、果てしないほど激ヤバクオリティなんだけど、それについてはあとでご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

形としては、以前、11月に当店で無染色ヤクウールの生地でつくったジャケットとほとんど同じです。(山内は細かなところがいつも変化します)

通常のフォーマル仕様なテーラードジャケットだと表にはほとんどステッチワークというのが露出しませんが、これはコバをはじめ、いろんなところにステッチが入る設計の”山内仕様”のテーラードカラーのジャケット。

 

あとは、まあ、考え方を考えれば山内さんは自分自身で「テーラーではないので。」と言われるんですが、テーラーさんではないつくり方をしてますね。

今ではこういった”テーラードカラー”のジャケットを”テーラーの仕立てで”とかって単なる謳い文句で言ってる、それ風のジャケットが多いけど、全くそっちの方向には行ってないです。これ。安心して。

 

具体的には、一つは肩。

 

肩の丸みは充分にとられているのはもちろん、「似せ割り」という方法で構築されてる肩です。

 

上の写真を見てくれたら分かると思うけど、スーツほど袖が高くなく、カバーオールみたいなジャケットほど、身頃が高くない。

この手のジャケットでは、大袈裟に言うと

 

・袖高=フォーマル仕様に近づく

・身頃高=完全カジュアル使い

 

というのが一つの判断材料にもなってきたりするんですが、今では身頃高のジャケットがすごく多いじゃないですか。

カバーオールみたいな。

あとは、反対に肩パッドがしっかりと入った、スーツじゃね?みたいなものとか。

 

だから、意図的に僕はいつも、袖高に寄った、スーツではないある程度きちんとして見えるジャケットを見つけたら仕入れるようにしてるんです。

 

で、今回はこれですね。完全に。

 

具体的には、この山内のジャケットは、肩パッドを入れずに、内側の縫い代を袖方向に倒す、だけじゃなくて、反対の身頃側にも接ぎをフラットに近づけるために同じ生地を中に忍ばせてる。

 

これを「割り縫い」に似せた

 

“似せ割り”というそうです。

 

この手法は多分、メンズではほぼなく、またこういったジャケットに組み込んでいることは皆無らしいですよ。

適度に肩がきちんと見えて、みすぼらしくなく、スーツまで行かない。

とても良いバランスだと思いますよ。

まあ、スーツを求められる方はスーツにしたほうが良いのは間違いないけど、例えば結婚式とかには全然問題ないと思います。これ。

 

あとは、そういうシーンだけじゃなく、日頃のジャケットスタイルにも無理なく使ってもらえるんじゃないかな。

 

 

 

 

 

 

若干、袖高になってる肩。

 

 

 

 

 

 

そして、フォーマルなジャケットにはあり得ませんが、コバステッチ。

 

 

 

 

 

 

 

 

裾や袖や、ポケット口の抑えや、フラップに入る30番手の太めの番手だけどあまりにも細かいピッチのステッチの数々。

ちなみに袖口は本切羽。

 

 

 

 

 

そして、この辺りも珍しいですね。

衿裏。

ジグザグの補強ステッチや、衿腰のステッチ。

見事な間隔で縫われてる。

 

 

 

 

 

加えてこれ。

写真じゃほとんどわかんないけど、

衿の裏の生地は、表の生地に対してきちんと1mm控えられてる。

衿が返った時に見えないようにね。

これは洋裁の基本事項ではあるけど、全く乱れなくここまでやってあると紹介したくなりますね。

こういう部分が曖昧どころか無視されてつくられてる洋服もどんどん増えてきてますからね。

そういう昔からある、当たり前だけど、手のかかる仕様ってやはり重要なの。

服に限らず、本来の当たり前を当たり前にやってるプロってそんなに多くはいないと思うから。

 

っていうのをこの裏地を控えつつも、見事なコバステッチ入れた衿を見ながら思った。

 

 

 

 

 

適度にシェイプがかかったウエスト。

お尻が半分くらい隠れるクラシカルな着丈の長さです。

 

 

 

 

サイドベンツ。

 

 

 

 

 

裏地は、背抜きの仕様です。

裏の生地の処理もよく出来てますよ。

あとは、この素晴らしい生地を最大限に感じて。

 

 

 

 

 

縫製した方は”高野 みよ”さん。

改めてですが、山内では一着の洋服を最初から最後まで一人の方が縫い上げます。

縫われる方は皆さん、その道では長い方で、とても腕のある技術者の方々。

そういう方の技術がきちんと世の中に評価され、このような技術が”日本”に残っていくことを目指して、この”縫製者タグ”は取り付けられてる。

 

今では縫製はどんどん海外に流れているし、このコロナももちろんだけど、日本では縫製業をはじめとした洋服業界の”川上”に当たる業界の状況がとても難しいのが実情です。

それはいろんな側面からの影響があるそうで、僕自身も年々、川上の方々との距離が近くなっているから、そのような方々の話を聞く機会がどんどん増えてきてる。

これは絶対に簡単に変えられるようなサイクルではないのは分かってるけど、でもこれはまずはこのブログを見てくれてる人に知ってもらうことが第一歩だと思うし、洋服の紹介だけじゃなくてそういうことも一緒に認識してもらえたらと思ってる。

まあ、洋服の業界の実情は凄まじいですよ。

 

工賃仕事である縫製業は、洋服の販売価格を安くするために工賃を叩かれるし、であればたくさん同じものをつくると生産効率が上がり、縫製業や機屋さんの継続にもつながる。

しかしながら、洋服をそれだけの数量つくることができるブランド、メーカーも限られるし、はたまたお店も在庫リスクを恐れて数着の仕入れ。

それはたくさん同じものを販売することが難しいから。

その理由は、大きく分けて二つ。

一つは、お店の販売能力が高くない。

もう一つは、最終的にその洋服を買う、エンドユーザーの方は世の中にたくさん存在する洋服を嫌うから。

 

つまりは、洋服が完成形の形に近づけば近づくほどに、たくさんの同じものが存在することが嫌がられるけど、生産の最初の段階になればなるほど、たくさん同じものをつくることで成立するという、対極の理論が存在するから。

 

このサイクルをどうにか改善することができないかというのを思ってる。

 

To be continued…

 

 

 

 

 

話を戻して、今回のこの生地。

 

山内の山内さんが、葛利毛織さんでつくった山内オリジナル。

 

もともと山内さんがいうには、葛利さんがつくっていた高密度の平織りのウール生地が存在していたらしいんですが、それを極限までやったのがこの生地。簡単に言うと。

 

 

 

 

 

“平織限界密度”という超明確な名前がつけられたこの生地。

激ヤバ。

そもそも、僕はウールの平織りの生地がとても好きなんですよ。

だから、いろんなブランドでウールの平織りの生地のものを見ると仕入れるハードルはグ〜ンと下がる。

もちろん洋服とのバランスですけどね。

 

でも、この生地は今までの自分の見てきたものを圧倒的に凌駕してきた。

それもそのはず。

これ以上は、高密度に平織りにできないんだから。

 

原毛はノーミュールシングウールのスーパー140のものを100%使ってるんですが、それを梳毛強撚して、細い番手の糸をつくった。

それを昔ながらのシャトルでフツーには織れないから、できる限り速度を落として、葛利毛織の職人さんが”気合い”で織り上げた生地だそうです。

山内さんが葛利毛織さんの限界に挑戦したシリーズなんです。

 

ほとんど表面の加工はしてないそうなんですが、ここまでくると水を弾くし、全然シワにならない。

しかもそこそこ軽量で、生地の奥行きあるし、輝きもあるし、言うことない。

でも、どうしても所々ポツポツというフシが現れてしまった。

これは狙ってなかったそうなんですが、ウルトラ特殊生地ということでモーマンタイ。

 

 

 

 

 

 

これがこの生地のマイクロスコープの写真。

全く糸の隙間がないのが分かるし、双糸の糸がとても整ってる。

ガッチガチだけど、明らかな上質感が分かるんですよ。

 

 

「ウールの平織り」って言ってるけど、フツーはウールはギャバジンとかの「綾織り」が多いです。

だから、ドレープが強かったり柔らかかったりするんです。

 

 

比較でこれ。

“綾織り”ウール。

 

 

黒い生地だからマイクロスコープのライトが反射してるので、雰囲気を掴んでください。雰囲気で。

いわゆる上質と言われる”梳毛のウールツイル(綾織り)”。

 

対して、今回の。

 

 

 

同倍率で撮影してるけど、全然見え方が違うと思います。

経糸と緯糸が交差してる目の数も全然違うし、ガッチガチに目が詰まってるのが見てもらえると思います。

 

 

 

 

更に拡大。

 

 

 

 

ウールツイル。

 

 

 

 

今回の山内の。

全然表面の見た目が違う。

しかもこれは生地にほぼ加工なし。

素材、糸、織り密度とそれを実現する技術。この要素でつくってる生地ですね。

素晴らしいシロモノ。

 

 

 

 

 

 

山内

平織限界密度ノーミュールシングウールシャツ

material _ nomulesing wool SUPER140s

color _ black khaki

size _ 2,3,5

 

そして、これが同じ生地のシャツ。

スタンドカラータイプですね。

 

 

 

 

コットンのシャツでは出せない生地タッチと見た目。

 

 

 

 

縫製時にピリつきやすく、ただでさえ縫うのがとても難しい生地を、この縫製レベルで仕上げてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もちろん袖は二枚袖。

抜群のコバステッチと袋縫いが共存するシャツ。

 

 

 

 

感じたことないようなその深みに引き込まれる生地に対してハイパーレベル高い縫製技術ですよ。

全然ピリつきがないの。

迫力が強い生地に対して、それに負けてないステッチワークのオンパレードですからね、実物を舐めるようにご覧になって。

 

 

 

 

 

縫製は、”美納 愛子”さん。

 

 

 

 

そして、

 

 

 

 

 

山内

平織限界密度ノーミュールシングウール・ワンタックスリムパンツ

material _ nomulesing wool SUPER140s

color _ black khaki

size _ 2,3

 

3つ目。

ワンタック配置されたスリムトラウザー。

 

 

 

 

ジャケットやシャツ同様に表に現れるステッチワークがふんだんに感じられる仕様です。

ジャケットもシャツもパンツもそれぞれが同じ太めの番手の縫製糸が使われてます。

 

ウエスト帯の上下に入るコバステッチも完璧ながら、この生地で下部が流し込みベルトループ。

 

 

 

 

 

 

あと、山内のベルトループはえげつないですからね。

通常は、ベルトループを縫えるように設定されたミシンにラッパという金具を取り付け、それをただ単純に流していくだけなんですが、山内ではそんなことしてないの。

丁寧に、きちんと芯地を貼り付け、その後にアイロンで綺麗に折りたたむ。

その上で本縫いを二度繰り返したベルトループ。

更にそれをベルトループの設定にカットし、めちゃくちゃ狭いベルトループ端にオーバーロックをかける。

それでやっと取り付けることができる山内仕様のベルトループが出来上がるんですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見るからにパンパンな生地。

 

 

 

 

 

裾まつり。

裾上げ可能。

 

 

 

 

 

 

本水牛ボタンに、エクセラファスナー。

マーベルト仕様ですね。

 

 

 

 

 

縫製者は、”堀内 寛子”さん。

 

この平織限界密度シリーズはとても丈夫だし、この縫製仕様ですからね。

気兼ねなく、極力ヘビーに、ヘビーにお使いください。

 

 

 

 

最後はこれ。

 

 

 

 

 

山内

塩縮加工コットンリネンシャツ

face material _ cotton 50%,linen 50%

linning material _ cotton 55%,cupro 45%

color _ olive

size _ 2,3,4,5

 

 

 

 

 

山内

塩縮加工コットンリネンシャツ

face material _ cotton 50%,linen 50%

linning material _ cotton 55%,cupro 45%

color _ azuki

size _ 2,3,4,5

 

久しぶりに登場。

山内の顔とも言えるこのシャツ。

和装に使われていた塩縮加工を施したシャツ。

今ではときどき生地の表面感をUPさせるために使われる塩縮加工ですが、そのほとんどが生地に塩縮液を吹きかけた塩縮加工だそう。

しかしながら、このシャツは手作業での漬け込みの塩縮をしてる。

だから、もともとの生地分量よりもめっちゃ縮んでる。

 

それによって生地がものすごく縮み、この生地だけしかない皺が生まれ、加えて色合いがグンと深くなってるシャツです。

通常のシャツの3.5着分の生地分量を使ってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先ほどの平織限界密度シリーズは、素材がウールということもあり、生地表面の光沢が強いのと、少しかっちりとした服の種類だったので、中和させるためにステッチが表に出ていましたが、塩縮加工リネンシャツは皺があり、カジュアルな印象が強い分、表にはほとんどステッチが出ません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新品は塩縮のナチュラルな皺がありますが、まだまだペタッとした印象です。

だから、たくさん洗ってくれるといいですよこれ。

洗うことによって皺がより立体的になるし、表地はもうこれ以上縮むことはないんだけど、総裏地のコットンキュプラが気持ち縮んでより、体馴染みが良くなる。

僕も5億回くらい洗った塩縮加工リネンシャツを今も着てるけど、塩縮の皺はなくならないし、着心地も新品時よりも大幅に向上してる。

すごいのよ。これ。

 

 

 

 

 

そして、なんと言ってもこれですね。

総裏地。

 

 

 

 

シャツを超えてるつくりしてる。

 

 

 

 

肩も、二枚袖もパイピング。

 

 

 

 

 

袖口もこの仕様。

 

 

 

 

縫製は、”水出 千代子”さん。

山内だけではなくて、tilt The authenticsのシャツも水出さんが縫ってますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総裏地だから今はまだ日中は暑いかもしれないけど、これから先にはとても適してるシャツですね。

洗ってたくさん膨らみを出して着てもらうのがベスト。

 

 

お好きな方は見てみてください。