デニム。

誰もが知る生地の種類の一つ。

 

織物(布帛<ふはく>)の三原組織の綾織りに分類される生地ですね。

 

・平織り(ひらおり)

・綾織り(あやおり)

・繻子織り(しゅすおり)

 

この三つで成り立つ三原組織。

 

その綾織りの中で誰もが最もイメージできるのがデニム。

 

17世紀だったか、18世紀だったか忘れたけど、フランスのニーム地方で織り上げられた生地、”セルジュ ドゥ ニーム”が語源であるとされていますね。

日本語で訳すと、「ニームの織物」って意味だったと思う。

 

今では、アメリカが発祥だ。みたいに認識されている方もいると思いますが、生地の誕生はフランス、それを服として形にしたものは、イタリアで生まれたという説が有力ですね。

その頃生きてないから真実は分からないけど。

 

そして、フランスのニーム地方は港街だったのかな、世界各地に輸出されて、各国に渡ったとされる。

記憶が定かではないけど、ジーンズ(デニム生地のパンツ)の産みの親とされる”リーヴァイ・ストラウスさん”も”ヤコブ・デイビスさん”もアメリカ人ではなく、どこかの国の移民だったかでアメリカに住んでいたと思う。

 

そして、ヤコブ・デイビスさんがある日、とある婦人に作業員である旦那のために丈夫な作業用ズボンの製作を依頼されたことから「作業着であるジーパン」が産声をあげる。

 

ヤコブ・デイビスはリーヴァイ・ストラウスの持つ丈夫な生地を使って、ポケットが簡単に破れないようにポケット口に補強のリベットを打ったものを製作したものが「あのジーパンの誕生」と言われてる。

 

フランスで誕生した生地が、アメリカという偉大な国で多くの炭鉱ワーカーに育まれ、その後世界中の人々を魅了し続けている。

 

亡き、あのイブ・サンローランも「私がジーンズをこの世に生み出すことができなかったのが残念でならない」という言葉を残していることも逸話として残ってますからね。

 

僕自身も、ハタチの頃から洋服の世界に飛び込み、大阪のアメ村のヴィンテージレプリカのジーパン屋さんで働き始め、そこから岡山の児島のジーパンの縫製工場の現場で働き、そして今があり、デニム生地、ジーパンに心を寄せてきた人間の一人。

 

これまで、リーヴァイスのXX(ホントはBXXの方)や、ビッグE、リーなどを大枚叩いてデッドで買ったり、程度の良いものを買ったり、はたまた日本やアメリカのヴィンテージレプリカやデザイナーズブランドのものなど、しこたま着てきたんですよ。

 

こういうセレクトショップをやってる人の中でも指折りの着用数だと思う。多分。

 

ただ、今は同じデニム生地でもすごくいろんな種類のものが存在しますね。

 

それを構成するためのスタートとなる、原料のコットン自体も世界で120種類あると言われるくらい多様だし、それをオープンエンドとかリングスパンとか、どう糸にするのか、その糸をシャトル織機なのか、革新織機なのか、どの織機で織り上げるのか、製織後にどのような加工をするのかによって全く別のものになるのがデニム。

 

だいぶ大きく分けると、

 

 

第一段階:繊維

第二段階:糸

第三段階:染色

第四段階:製織

第五段階:後加工

 

 

という順序を踏んで、デニム生地は完成します。

 

 

<第一段階:繊維>

ここでは、どの繊維を使うかによって、生地が出来上がったときの様子が変わってきます。

当然のことだけど、どの材料を使って調理するのかによって出来上がりの料理は違ってくると思う。

 

そして、そもそも、デニムというものに対して、リジッド(生デニム)やワンウォッシュの状態から穿いて色を落としていくというイメージがある方もいると思う。

 

僕は、濃い状態から色落ちをさせていくことを目指す場合、デニムは繊維のコットンが”長繊維綿”ではないほうが深みや表情があるものになると思ってる。

だから、ベストは”中繊維綿”ですね。

というか、米綿。

フツーの繊維長のアメリカンコットンが一番良い色の陰影が出てくれるんですよ。

繊維が長い(約2.8cm以上)コットンはしなやか過ぎて、色の陰影がきれいじゃないんですよね。

色を薄くせず濃いままを楽しむなら良いと思いますけどね。

 

まあ、だから、「中繊維綿」が長い年月穿いていて一番楽しい。

 

 

 

 

<第二段階:糸>

その中繊維綿を糸にします。

 

紡績の種類も二種類かな。

「空気紡績(オープンエンド)」と「リング紡績(リングスパン)」。

 

古くデニムは、空気紡績だったと言われていますね。

空気の気流で繊維を撚り、糸をつくりあげる。

これによりムラ感のある糸に仕上がり、当時の空気がビンビンに出るような糸になるんですが、糸の強度のムラも結構あるみたい。

 

でも、僕は最近オープンエンドの長繊維綿のTシャツにハマってる。

肌に当たったときには柔らかいのに、適度にザラっとして、ベタつかず汗ばむときにも良いのよ。

日本の夏には良いかもね。

オープンエンドの長繊維綿Tシャツ。

 

で、

 

対して、「リング紡績」。

これ原理はちょっと忘れちゃったけど、空気紡績よりも糸の均整がとれ、一定品質の糸に仕上がるんだった気がする。

近年は大体これですね。

というかデニムは中繊維であれば、リング紡績の方がガンガン穿けるから良いと思うんですよ。

 

撚糸の強さの強撚とかも調整しやすいと思いますしね。

 

 

 

 

 

 

<第三段階:染色>

デニムが色落ちする原理はご存知の方も多いと思います。

そもそも、デニム生地のみで採用される、「ロープ染色機」という大型機械を使用します。

ロープ染色という方法により、

合成インディゴ液に浸けて、空気に触れ、酸化させる。

という工程を何度も繰り返して(だいたい12回前後だったかな一般的には)、あの濃いインディゴにします。

でも、これ経糸の話です。

緯糸にはロープ染色を行いません。

 

そのインディゴ染料は、古く天然の藍染めの代用として石油原料由来で開発された染料で、他の染料に比べて染色の分子が大きいと言われています。

分子が大きいために、糸の内部に全てが入り込めず、ある程度は染まるのですが、糸の内部は白いまま、通称「中白」「芯白」という状態になります。

 

それが着用を続けることにより、表面が擦れ、糸の内部の白い部分が露出してくることで”色落ち”という現象が起こります。

 

これはデニムならでは。

 

このロジックがいつの時代も世界中の人々から愛される生地を生み出す最大の秘訣ですね。

 

まあ、あとは「枷染め(かせぞめ)」っていう方法もあるけど、ほとんど見ないから忘れた。

 

 

 

 

 

<第四段階:製織>

ロープ染色で染め上げたインディゴカラーの経糸

晒し糸(白い糸)の緯糸

とを織り上げます。

 

まず、織機に経糸を一本ずつセッティングします。

そして、綜絖(そうこう)というパーツで経糸をそれぞれ交互に上下させ、その隙間に緯糸を走らせます。

これが製織の原理。

 

そして、その織機がやはり、旧式織機=シャトル織機であることがセルヴィッチ(生地の耳)付きデニムになる。

 

赤ミミとかいろいろ言われたりしますが、もはや製品になったときにミミが付いているか付いてないかは結構どうでも良くて、シャトル織機なのか、現代的な革新織機なのかは、生地の風合いが全然違うものになるから、そこが重要。

 

製品に対して何を目指すかということで使う織機は分かれてくると思うんだけど、やはり開発当時の至らない機械(シャトル織機)で織り上げられた生地のほうが、軽薄じゃなく、そこに深い表情を感じるから、そっちのほうが着ていって変わってきたときには楽しいと思う。

 

あとは、生地が織り上がったときに、生地の大きさ(幅のこと、大体長さは同じで50m前後)が旧式と革新じゃ全然違うのよ。

大体、セルヴィッチデニムは、生地の幅が70cm、80cmくらい。

革新織機で織り上げられたものは、120cm~140cmくらいかな。

 

全然生産効率が違うんですよ。

ほぼ倍。

昔ながらのモノのほうが非効率ってことです。

これは考えようによってはマイナスかな。

値段が上がるから。いろんな面で。

 

 

 

 

 

 

 

 

<第五段階:後加工>

生地は織り上げられた後に、通常は後加工が施されます。

それは、仕上げ加工とも言われ、生地の風合いをより引き出したり、表情を整えたり、洋服として扱いやすくするために行うものです。

 

デニムで言うと、それは「整理加工」と言われますね。

 

デニムに施される整理加工は3種類。

 

・サンフォライズド加工(防縮加工)

生地が縮むのを防ぐ。

 

・毛焼き加工

生地表面に起こる毛羽立ちを焼き切って綺麗にする。

 

・スキュー加工

綾織りの特徴である”ねじれ”を防ぐためにする。

 

 

この3つが通常は行われますね。

 

でもね、僕はこの3つが今は違うのよ。

 

こうすることで均整のとれた綺麗な生地にはなる。

 

でも、リーヴァイスのオリジナルヴィンテージの501XXなんかはこの加工なんて一切されてないし、それが”あの”迫力ある見た目にも繋がってるんですよ。

 

今の世の中に存在するデニムは99%の確立でこの3つのどれかがされてるんじゃないかと思う。

悪いことじゃないんですけどね。

 

ただ、なんでも高品質なものが簡単に手に入る今。

 

すごく昔から存在するデニムという生地。

 

その最もクラシックな姿、表情を楽しんでいくのも悪くないと思う。時間はかかるけど。

 

そして、余程レプリカとかお好きな方じゃない限りは、このサンフォライズド加工、毛焼き加工、スキュー加工のどれか一つでも一切施されていないデニムを穿いたことがある人は、そんなにいないんじゃないかな。

 

だからこそ、体験してみて。

 

あの毛羽立ちがすごくて、慣れなきゃビックリするような見た目。笑

 

でも、着続けることによって、毛羽が徐々にとれて、縮んだり、捻じれたりしながらも穿き込んで、新品とは見違える姿に変化していくアレ。

 

 

この整理加工をしていないデニムを

 

 

「生機(きばた)デニム」

 

 

と言う。

 

 

そういう己で育て上げろっていうベクトル100%でつくられたデニムのものを、使い込んで、変化させてっていう経験って、とても心に残ると思う。

その洋服への愛着も格別だしね。

 

 

 

 

 

ハタチのジーパン少年時代から10年。

 

こうして、新たに生み出し、皆様に紹介できることが喜びです。

 

また追って紹介します。