先日Irenisaのブランドとして初めての春夏シーズンの一部をご紹介しましたが、今日はその続きで紹介しますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

ITALIAN COLLAR SHORT-SLEEVED SHIRT

material _ WOOL 100%

size _ 2,3

 

独特のニュアンスのあるカラーリングのグラウンドに細いピッチのストライプが配置されたショートスリーブシャツ。

イタリアンカラーという名前になってるけど、分類するとそこに属するということかな。

個性ある衿の設計がされているシャツですね。

 

 

 

 

 

 

 

先にもある通り、混率はウール100%です。

柄出しはプリントでのストライプなどではなく、経糸に一本色糸を差し込んでピンストライプをつくっています。

 

 

一見すると特段変わったことのないような見た目ですが、ここにはIrenisaのシーズンを象徴するような要素が込められてる。

 

ブランドがオリジナルで製作した生地ですからね。

 

Irenisaにしかないものが詰まっています。

 

 

“NATURE & MADNESS”

 

 

自然のものが持つ美しさや規則的ではない、ゆらぎを表現しているストライプ。

 

よく見ると一本ずつ等間隔で配置されたストライプの色糸の太さがそれぞれ違うんですよ。

同じ太さの糸ではない。

つまり、同じストライプではないってこと。

 

 

 

 

 

 

それを知った上で見ると別のものに見えてくるストライプ。

 

生地全体の持つ柔らかなニュアンスに溶け込み、その洋服の雰囲気づくりに徹していたストライプの存在が明確になり、強さを増す。

 

静寂を保っていたピンストライプが一気に浮かび上がってくる。

 

そして、次の瞬間にはもうこれまで目にしてきたようなクラシカルなピンストライプとは違うIrenisa Stripeに見えてくる。筈。

 

 

 

 

 

 

生地クオリティに関しては、経糸に120双(120番手を2本撚り合わせたもの)、緯糸には72番手の単糸(72番手を1本)を配置してる。

 

滑らかなウールだし、サラリとしたタッチではあるんだけど、独特の乾いたような、綿織物のような感覚もあるんですよ。

不思議や不思議。

 

どこかドライなんだけど、そこにはコットンには存在しない繊維の重心と表面感により、特有のラグジュアリーさが漂ってる。

 

軽薄だったり、表層的ではなく、とても奥行きのある生地だと思う。

 

僕は決してオリジナルの生地が良いとか、そうじゃないから悪いとか思わないですが、この生地はオリジナルで生み出すことがすごく価値があると思う。

シーズンにも合った「Irenisaの想像と創造」による「オリジナリティー」のある生地だと思いますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

あと、このシャツ。

先にも言ったけど、衿もとても変わってる。

 

台衿があるように見えて、台衿の存在しない、一枚仕立て。

 

 

 

 

 

 

夏によくある、オープンカラーシャツでは衿の大きさや開きだったり、全体とのバランスを追究するブランドがほとんどだけど、Irenisaでは衿の設計の根元から違ってるの。

 

 

 

 

 

 

通常のcollarとは全然違うパターンで、大きな一枚パーツを翻らすことにより台衿に近いような機能と中間的な高さの上衿が形成される。

 

台衿がないカラーのものだと、衿がペタッと平面的になり過ぎるし、台衿が台衿し過ぎると、衿の醸し出すムードが硬くなりすぎる。

 

そのどちらにも属さない衿。

 

オープンカラーなら第一ボタンは必ず開けることが想定されてるから、ボタンを留めてしまうと変な皺が起こってしまうし、かといってこの生地にはレギュラーカラーはアンバランス。

 

そこでブランドが設計した特有の衿型です。

 

これにより、ボタンを開けてネックを開いてもオーケーだし、第一ボタンまで留めてしまって着用するのにも対応してくれる。

 

Hybrid Collarの完成。

 

 

 

 

 

 

 

 

ボタンはIrenisaのレーザー刻印ホーンボタン。

 

だいたいこの手にはボタンは、シェルorナット辺りが施されること中心だけど、そのボタンでは起き得ない効果が発揮されてますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとは、バックヨークがありません。

フロントから見るとバックヨークなしには見えないような切り替えが前身頃に存在しますが、後身頃が大きいです。

だから、バックスタイルはウールの質感がふんだんにアピールできますね。

ただ、一枚のパーツだけど、背中に合わせた立体的な丸みはしっかり備わってる。

 

灼熱の夏には風も抜けて、とても気持ちの良いシャツだと思いますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

MEDICAL SHIRT

material _ COTTON 100%

size _ 2,3

 

こちらは古いウェアが着想になっているシャツ。

シャツとは言いますが、写真の通り、通常のカラータイプのものではありませんね。

袖丈も肘下の位置までで、着丈も少し長めです。

 

 

 

 

 

 

特徴的なスタンド型のネック。

フロントは、右肩の2つのフックパーツと右わきの3つのボタンで着脱する設定。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボディにはコットンのテープが配置されてます。しかも角は額縁仕様。

 

 

 

 

 

 

このテープは見た目でのワンアクセントにもなってますが、メタルパーツを手で留め付ける際の補強にも一役買ってる。

最近はこういうパーツあまり見なかったから違和感あって良いスパイス。

 

 

 

 

 

左身頃はフロントを開くと返るようになってますが、ここもIrenisaの計算された設計が効いてくる。

 

 

 

 

前開きの縁取りには、”見返し”が配置されてる。

見返しの端側には、シングルステッチ。

身頃側には、コバ+3mmのダブルステッチ仕様です。

 

 

 

 

ネックにも、身頃との接ぎ合わせの箇所には同様にコバステッチとそこから3mmの位置にダブルステッチ。

 

この仕様で、前開きを留めたときにはステッチが目を惹くようにはなるんですけど、オープンしたときに更なる効果を発揮してくる。

 

 

 

 

 

ネックも男性の首に適度な余白寸法がある状態で綺麗なラウンド設計なのですが、開けたときにダブルステッチで硬さが生まれた箇所が土台の役割を果たし、全体がぺたんと下に落ちてしまうことがなく、余力を残した状態で翻ることに成功してる。

これがこうなるのと、ならないのとじゃ全然見た目が違ってくるから。

 

要するに、

 

きちんとしてる。

 

 

 

 

 

 

ネックから裾まで続く”見返し”。

 

そもそも、「見返し」とは生地の裏の端に位置する、表の生地と同生地での補強だったり、生地端を処理するためのパーツのこと。

 

 

 

 

 

身頃の裾からのView。

身頃の裾は、セオリー通り、3つ巻き(表地を3つ折り状態にして処理すること)ですが、前開き箇所はパターンのカーブもきついし、より重みと硬さを出せる見返し仕様に。

表のフラットな見た目からは想像つかないような構造に支えられて形になってるシャツですね。

 

つまり、

 

めちゃちゃんとしてる。

 

 

 

 

 

 

ナチュラルにフルオープンでも良いし、ボタンだけ留めての着用も良いかな。

あとは、その逆でフックパーツだけ留めて、下のボタンを開けてコットンテープが少し覗くように着てみるのも良いかもしれませんよ。

まあ、いくつか試しようのあるシャツだと思います。

夏場のショートスリーブのもので、一目で違いが出せるものもそうそう多くないですからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

サイドにはスリットです。

そうそう、生地はコットン100で、超長綿です。

そのおかげもあり、ナチュラルな輝きと柔らかさがありますが、どちらかというと化学繊維タッチですかね。

いわゆる、細い糸を高密度に織り上げてるんですが、コットン100でここまで高密でこの肌当たりに持ってこれるのは、日本の綿織物の一大産地、浜松ならでは。

でも、更にそこから滋賀県で生地の状態で染めてるそうですよ。

ここまで高密度で化学繊維のようなタッチだから、なかなか色が入らないんじゃないかと思いますが、高温高圧プレスかな?そういう通常のコットンではしないことをやってるかもしれません。ここまでの生地だと。

で、更に更にそこから、生地の仕上げですが、ここは仕上げ加工屋さんの企業秘密の特殊加工。

その特殊加工の効果で、この生地の肌当たりが決まってる。

 

 

薄着になる時期にはとても快適な肌当たりだと思うから、今はかなり寒いけど、燃えるような太陽と迸る汗、鳴り響く蝉の鳴き声を想像しながら見てみてください。

 

 

 

 

 

そして、

 

 

 

 

HIGH WAIST PANTS

material _ COTTON 100%

size _ 2,3

 

先程のMEDICAL SHIRTと同じ生地のパンツです。

ブランドではセットアップでの撮影もしてた。

 

2020AWシーズンでもあった迫力あるワイドパンツですが、生地が変わって全然違う印象です。

生地の光沢が軽やかなドレープに陰影を出してくれるパンツになってる。

 

 

 

 

 

 

 

先シーズンに引き続き幾層にも重なり複雑な見た目をしたウエストは健在。

 

ベルトループもつくし、サイドアジャスターも完備。

ただ、本来はベルトループってベルトを通すための一種のツールみたいなもので機能面だけの役を担うことが大半だけど、このパンツでは見た目を形成する大きなパーツの役割にもなってる。

 

ウエストに何本もつくのはもちろんだけど、

 

 

 

 

 

 

 

 

通常のベルトループの取り付け方よりも、もうワンステップしてるのよ。

一般的にはオーバーロックで生地端を処理し、そのまま2つ折りで取り付けるのがフツー。

このパンツは、3つ折りベルトループ仕様。

 

そして、

 

 

 

 

 

取り付ける箇所に表からカンドメや返し縫いのステッチが叩かれてないから、浮き上がって見えるし、全体のバランスが均整がとれて見えるんですよ。造形美。

 

そんなところ関係ないと言ってしまえば、そこまでのレベルの洋服で終わるし、洋服を追求し、更なる高みを目指す方には見逃せない細かい仕様の一つ。

かもしれない。

 

 

 

 

 

サイドは、ベルトを通すためのループをそのまま延長し、サイドアジャスターが振れないように固定してる。

ここには中間地点にカンドメ入れてますね。

 

縫製工場に対して、細かい指示が出されてるのが目に見えるパンツだね、これは。

 

 

 

 

名前がハイウエストだから、股上は深めの設定です。

でも、ブランドでは高いウエスト位置だけではなく、腰骨の位置でも穿けるように設計してるみたいです。

 

 

 

 

 

 

内側も複雑そうでしょ、、、

 

 

 

 

 

 

ファスナーフロントでマーベルト仕様ですが、、、

 

 

 

 

 

 

太もも付近まで、キュプラ裏付き。

 

 

それが、、

 

 

 

 

 

表地に合わせて、裏地まで2タック。

 

 

 

 

 

バックも裏地付きですが、、、

 

 

 

 

 

表地に合わせてバックも裏地にダーツを。

 

単純に生地の余剰を裏地に持たせるだけじゃなくて、表に合わせて快適に裏地が機能するようにしてる。

 

 

世界中にファッションブランドってありますからね。

見た目がそれなりにちゃんとしてる”ように”見えるのとかは、山ほどある。

 

でも、ブランドのプロセスやホントにちゃんと服づくりをしてる人ってそんなに多くないと思うんですよ。

 

ただ、ただ、技術だけあってもダメだし。

才能だけあってもダメ。

 

Irenisaは、ブランドがスタートして2回目のコレクション。

 

まだ2回目だけど、このブランドは、今もだし、これからも期待できる。

 

 

 

だから、、、

 

 

 

2021SSシーズンを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続きは明日。