秋冬の前シーズンからデビューしたIrenisaの新シーズンが始まりました。

 

2021SSシーズンの到来。

 

しかも一発で全量を納品してくれた。

当初、ブランドが予定していた時期よりも少し早い時期を希望していたらほぼその通りに。

だから今は充実のラインナップ。

 

 

ブランドでオフィシャルで公開しているルックを見たら分かってもらえると思いますが、シーズンのテーマは”NATURE & MADNESS”。

 

“自然と狂気”

 

全くピンと来ないテーマだったけど、Irenisaの安倍さんに話を聞くと、なるほどそういう考えか。というところと、そもそものブランドの目指すところとのフィットがバッチリハマってると思う。

 

Irenisaの洋服を通して感じられるのは、シンプルな服装をされる方でも前衛的なスタイリングが好きな人にでも、使ってもらえる洋服じゃないかなってところ。

まあ、洋服なので見た目の好みはありますし、全部ではないのですが、とても奥行きのある洋服だと思いますよ。

 

例えるならば、今日は紹介しないけど、ブランドでオリジナルでつくったウールの生地があるんですよ。

それがファーストコンタクトでのアプローチとブランドのシーズンの話を知った上で見ると全然別のものに見えてくる。

日頃から洋服を取り扱う店舗としても、Irenisaには軸となる思想がある洋服で、表層的ではなく、きちんとしたプロセスを経て生み出されたものだってことがすごく納得できる。

 

なかなかないね。

この時代。

その気になれば誰もがすぐにファッションブランドを始めることができ、”それなりの見た目”の洋服がつくることができる世の中ですからね。

でも、洋服から見た目だけじゃない、奥行きを感じることができるものはすごく少ないんですよ。

 

で、今シーズンのブランドのテーマだけど、

 

“自然と狂気”

 

洋服を見ながら話をすると納得できる部分はたくさんあると思うし、結構複雑なテーマだから、ここでは少し簡易的に説明をさせて頂きますが、

Irenisaの中心人物である安倍さんと小林さんは東京に住んでいて、そうした中で過ごしていると自然の美しさ、例えば、山並みだったり、川の流れだったりとか、そういうことに安らぎや感覚的に影響を受けることがあるそうなんですよ。

 

多くの方が自然に癒しや美しさを感じることってあるじゃないですか。

 

でも、時に自然は牙を向く。

 

地震や台風などの天災や今ではあまり不謹慎なことは言えないけど、コロナウイルスだってもしかしたら生命の摂理の一つかもしれない。

人間は自然に育まれているものの一つで、その大きな流れの中に乗っていきているだけかもしれないじゃないですか。

分かんないけど。

 

人間は、経済発展のために昔から地球や自然に対して行ってきたことの負債を抱えてると思うし、その自然との共存を真剣に考えてる人もいて、みんながそれを考えなきゃいけないときじゃないですか。

小さなことで考えたときにレジ袋の有料化とかもそういうことだと思うし。

 

自然の雄大さや、反対に、それによる恐ろしさ(狂気)を見つめたときに、本当の美しさを知ることができるのかもしれない。

という思想から生み出され、その下でつくりだされたコレクション。

 

簡単にいうと。

 

で、それが見事に洋服に形となって反映されてるんですよ。

 

でも、実物見てもらえないとなかなか感じてもらえないかもしれないですね。

だから、ここでは通常通り洋服の紹介しますね。

 

 

 

 

 

今日はコレクションの中でも一部紹介します。

 

少しずつ。

 

コートとセットアップ。

 

 

 

 

 

 

 

 

Irenisa

RAGLAN SLEEVED OVER COAT

material _ COTTON 100%

size _ 2,3

※3は完売しました。

 

ラグランスリーブの丈の長いコートです。

この”ラグランスリーブ”というのは大きな鍵になるかなこれ。

 

そもそもラグランスリーブって「肩幅の設定がない」とか、「どんな肩の方にも合う」とかって言われたりもするけど、全くそんなことはないんですよ。

かなり肩の設定は難しく、特にラグランスリーブのコートとなると肩から腕のアウトラインが美しいものってエゲつないほど少ない。

コートの性質上、どうしても着丈が長く、落ち感が強くなってくるから、肩の浮き上がったようにスクエアになる、あのイカツイ見た目がとても苦手なんですよね。

セットインスリーブの方が肩が綺麗に見えやすいというのは、技術あるパタンナーさんから聞いたことのある言葉で、僕も本当にそう思う。

 

でも、このコートは展示会で着て、見たときに真っ先にその美しく描かれるショルダーアウトラインに目が奪われた。

ラグランスリーブコート = ネガティブ肩コート

という僕の概念が大きく覆されたのよ。

 

 

 

 

 

 

きちんと肩に添ってなだらかに下降し、腕から流れるように落ちるコート。

 

こういう着丈の長いものってどうしても身頃の分量に目がいくことが多いけど、これは肩にも注目して見てみるのも良いかもしれませんね。

 

あとは、身頃の分量に比べて、前から見たときにはアームが細く見えるんじゃないかと思う。

横から見ると結構腕のボリュームあるんですけどね、フロントビューからのアームはスッキリしてるのよ。

それもIrenisaのパターン設計の賜物。

だけど、稼働に決してマイナスに作用することはなくって運動量が充分に確保されていますね。

 

 

 

 

 

 

ハンガーの状態では肩周りにたっぷりと生地が余りに余り、立体構造なのがビンビンに感じられる。

この状態だとラグランの斜めの角度が強いように見えますね。

 

 

 

 

 

 

 

そして、洋服の顔とも言える首周り。

このコートで言うと衿ですが、衿も超絶良い感じなのよ。

 

分かりやすくいうと、”衿が立ってる”。

 

 

 

 

 

 

 

その理由はここにもあるかな。

台衿。

上衿のほうではなく、そのベースとなる台衿のほう。

 

ここまでのものはあまり見ることはないんだけど、台衿の幅が広いのよ。

というか、台衿高になってる。つまりは、上衿よりも台衿の方が高い位置にあり、身頃よりも台衿のほうが高い位置にある。

このコートを構成する本体の中で最も生地が高い点にあるのが、台衿。

これにより、上衿が浮き上がって見える。

 

 

 

 

 

着て見てもらえたら感じると思いますが、過剰じゃないけど、強く立つ衿姿してますよ。

 

で、そこに付属するチンスト。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

春夏シーズンという括りということもあり、一重の仕様です。

裏は脱いでもきちんとつくられてるのが認識できる白布P.P(パイピング)が備えられています。

裏地は付属しないですが、しっかりと見返しは配置されています。

 

 

一重だけど、軽量級過ぎない着用感ですよ。

理由は生地。

 

 

 

 

 

 

組成はCOTTON 100%。

ただ、一発でそうと分かる人はいないんじゃないかな。

 

Irenisaのシーズンテーマが反映されてる生地なんですが、

“自然”とは洋服で考えたときに、天然繊維。

その天然繊維の”狂気”を見せる、つまりはその素材を一般的なイメージとは違うものに変貌させている生地。

 

 

だから、僕もこのコートの製品が届くまで、サンプルを見てから時間が経ってたから頭の中で変換されて、ウール100のコートと思ってたくらい。

 

 

 

 

 

 

生地の表情は一見ウールですが、手で握ったときには芯はコットンっていうのが感じられますね。

いわゆるウールギャバジンとは違ったしなやかさがあるっていうか。

 

でも、もの凄く滑らかでシルキーなタッチですよ。

コットンとは思えない毛羽の少なさと輝き。

 

コットンの繊維の種類までは分からなけど、超長綿であるのは確実で、それを強く紡いで、撚糸して(強撚)、それをそのあとに高速で高温強力なガスバーナーの炎で瞬間で焼いて、出来る限りの糸毛羽を落とした糸を経・緯に使ってる。

 

それを綾織り。

 

の超高密度。

 

まあ、近年、ハリのあるコットンとか、光沢あるコットンとか言う表現が当たり前になってしまってるからもうそんなことは言いたくないけど、

 

とても良いバランスのハリと光沢が共存してる。

 

そして、美しい綾組織がそれを演出してる。

 

 

 

 

 

 

 

マイクロスコープで見てみるとやはり植物繊維100でこの毛羽の少なさは異常。

そりゃあこれだけ整った見た目になるわなって感じ。

 

極細双糸がギュンギュンに強撚されて、糸が締まりに締まってる。

その上、それを最大限活かすような密度。

 

 

大体、撚糸の回数で1200回を超えたら強撚と言われるんですが、当店でも最高撚糸回数は、山内がリネンコットンの糸を2000回で超々スーパーウルトラ強撚なんですが、これはそこまでではないけど、結構それに近いくらいの見た目してますね。

 

視点によっては、テクニカルな化学繊維タッチにも感じるし、めちゃめちゃ梳毛されたウールにも見える。

いろんな側面で捉えることができる生地ですよ。

コートとの相性は抜群ですね。

 

 

 

 

 

そして、

 

 

 

この生地。

 

 

 

 

 

 

 

Irenisa

NO COLLAR JACKET

material _ COTTON 100%

size _ 2,3

※3は完売しました。

 

同じ生地でジャケットもオーダー。

今はまだ寒いけど、春や秋に使ってもらうのにとても適してるなって思ったから。

コート同様に3のサイズは完売しましたが、この先良いことあるかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

ノーカラーだけど、単なるラペルをカットしたっていうものではないんですよ。これ。

 

パターン操作で首に寄り添って立ち、立体的に身頃に消えていくマニアック仕様。

 

 

 

 

 

こちらは、背抜きの裏地の仕様で、しかもオーガンジーというコレクションピースですが、、

誰もが気になる、アソコ。

 

そう。

 

肩ですね。

 

この手のジャケットはどのような肩の設計にするかですごくジャンルが分かれるのですが、これはラペルなしという見た目上、袖高の仕様です。

いわゆるフォーマル寄りのジャケットであればあるほど、袖が身頃よりも高い設計になるんですが、これはノーカラーでカジュアルに振ってる分、袖が高くなっています。

しかも、薄いパッド入り。

 

テーラーリング満載というわけではないけど、きちんとテーマとバランスのとれたジャケットだと思います。

すごく優秀なジャケット。

 

 

 

 

 

 

アームは気持ち細め。

袖の一つボタンはきちんと開きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

ダーツ処理でウエストシェイプが利いたBODY。

フロント一つ掛けの設定。

 

 

 

 

 

 

 

 

最近あまり目にすることがなかったのですが、お台場仕立てです。

当店で扱うブランドは、ここ数年みんなこぞってお台場仕立てをやめてたりするのですが、オーガンジーの裏地だからかな。潔くIrenisaはお台場。

生地端はきちんとパイピング。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先程のコートと同じ生地なのですが、全然印象の違う仕上がりです。

コートはそれらしく、ジャケットはシャープに。

 

しっかり生地の分量を活かせるコートなのに対して、ジャケットは生地の強さが控えめになっているように感じますね。

ハリのある生地な分、肩や腕の滑らかなアウトラインやシェイプの効いたウエスト、ノーカラーだけどきちっと衿の存在があるこのジャケットの形を存分に活かすことに徹してるっていうか。

 

ルーズなサイジングではないけど、上半身に心地よくフィットするこの形を楽しんで。

 

 

 

 

 

 

 

 

更に、

 

 

 

 

 

 

 

Irenisa

TWO TUCK WIDE PANTS

material _ COTTON 100%

size _ 2,3

※3は完売しました。

 

同じ生地で、パンツも。

先程のジャケットの組下でもありますね。

 

 

 

 

 

 

 

名前の通り、アウトタックの2本がフロントに入ったパンツ。

だけど、

 

 

 

 

 

通常、パンツに存在する「ウエスト帯」がありませんね。これ。

ダーツをそのまま伸ばして、そこの箇所をベルトループとしています。

これで、一般的なパンツよりも幾層にも手のかかるウエスト仕様にはなるわけですが、見た目には良いかもしれませんね。

 

ちなみに、ブランドではナイロンのベルトが付属するものもあるのですが、当店ではベルトなしで。

 

 

 

 

 

 

ウエスト裏はマーベル仕様で、ベルトループとしての開きの箇所には開き留めとしての閂が入ります。

なるほどなるほど、そういうことか。

 

 

 

 

 

 

裏、安心できるでしょ。このつくり見たら。

 

 

 

 

 

 

サイドにアジャスタブルのエラスティック入り。

 

 

 

 

 

そして、バックポッケのフラップも変わってるのよ。

カンドメあるけど、フラップのステッチ無。

 

これにより、バックフラップがよりグッと前に浮き上がることを実現してる。

 

 

 

 

 

 

片玉が現れます。

フラップは裏当てまでステッチがないから、一見simpleなパンツですけど、かなり複雑にいろいろ考えられてるのが抑えきれてないですね。

 

あと、そうそう、ブランドをご存知の方は既知の事ですが、ボタンは全てホーンにレーザー刻印してるものが採用されてます。

写真に随所に写ってたボタン、全部そうだから、安心してください。

 

 

いわゆる形でいうと、ジャケットに対してルーズなワタリですね。

いわゆるショーのランウェイでモデルが歩いて、トラウザーの生地が大きく揺らめいてる、あの感じ。

あれくらいの余白はありますかね。

 

このパンツも生地が生地な分、すんごく綺麗なムードを演出してくれるから、お好きな方は垂涎ものかも。

 

 

 

 

また、Irenisa追って紹介しますね。